富山港沖のスーヤンサン号(左)と警戒する海保の巡視艇 国際条約に基づく安全基準を満たさないとして、富山県から富山港への接岸を事実上拒否された北朝鮮籍の貨物船「スーヤンサン」号(874トン、乗組員16人)が、同港沖で停泊を始めてから、19日で1週間がたった。 `6|接近に伴い、第9管区海上保安本部(新潟市)と県は、早急に燃料補給を手配するよう指導したが、「接岸は認めない」とする県側と、「岸壁で積み荷を降ろし、燃料補給したい」とする船側の主張は平行線をたどっている。 同船は今月1日、中国遼寧省丹東から富山に向けて出航した。 積み荷は、富山県内の製紙会社などが発注し、大手商社の子会社が、中国の商社から輸入した工業用マグネシウムの原料1000トン。 輸送を依頼したのは、この中国の商社だった。 同船は3月下旬、福岡市の博多港で、国土交通省福岡運輸支局から国際条約に基づく安全性検査「ポート・ステート・コントロール」(psc)を受け、14項目の改善命令を受けた。 しかし、その後同支局に回答した改善結果は一部だけ。 しかも、船の運航全般を任せる総代理店は決まったが、実際に岸壁使用許可申請などの入港手続きを行う富山側の代理店は未定のまま出航していた。 海運業界関係者は「無謀としか言いようがない」と話す。 富山港沖に同船が姿を見せた今月12日、県は、県港湾管理条例で「港湾の機能を低下させる行為」を禁じていることを根拠に、岸壁使用の許可申請があっても許可しない方針を決定した。 「接岸させれば、改善を終えるまで長期間港にとどまるのは確実」(県港湾課)との判断からだ。 同船の総代理店は連日、中国の事務所を通じ、北朝鮮の船主側と連絡を取っているが、船主側は「貨物の輸送契約を果たしたい」との考えを崩していない。 船主側は、14の改善項目のうち昼間灯の整備など9つは改善したと主張。 残り5項目のうち、救助艇の整備など2点を除いては接岸後に直すとしたうえ、「接岸や、その後の速やかな出港を認めてほしい」と要望している。 同船の残燃料は約1000リットルとされるが、北朝鮮の母港・ヘジュ港まで帰るには2万3000リットルが必要とみられ、船主は接岸しての給油を希望している。 県は、今後も船主側負担で海上で給油し退去するよう求めていく方針だが、「燃料切れで漂流し、座礁という事態も心配」(県港湾課)される。 伏木海上保安部(富山県高岡市)が18日、乗組員に聞き取り調査したところ、食料は一週間以上、飲料水は4000リットル残っているという。 `6|の接近も新たな懸念材料となった。 第9管区海上保安本部は19日、台風により錨(いかり)を下ろしたまま船が流されるなど不測の事態に備え、新潟海上保安部から大型巡視船を、同船の付近海域に派遣した。 富山県も19日午前、船の総代理店に対し、すみやかに給油を行うように申し入れた。 県は、同船が港湾区域外に停泊していることから、安全上の責任は船側にあり、県が独自に給油を行うことはないとしている。 伏木海上保安部によると、船舶が海上で台風に遭遇した場合、錨を下ろした状態でエンジンをかけ、船を風上に向ける必要があり、台風の強さなどによっては、危険な状態になる可能性もあるという。 富山地方気象台によると、`6|は20日朝、富山県に最接近する見通し。 (読売新聞)[]