拡大写真オレンジ色の炎とともにごう音を上げて上昇するh2aロケット7号機=鹿児島県南種子町で26日午後6時25分、上入来尚写す 宇宙航空研究開発機構(jaxa)は26日午後6時25分、国産主力ロケット「h2a」7号機を鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。 約40分後、搭載した運輸多目的衛星新1号「mtsat−1r」を計画通りに分離。 jaxaは「ロケットの打ち上げは成功した」と発表した。 03年11月の6号機の失敗で危機的状況に陥った日本の宇宙開発は、信頼回復への一歩を踏み出した。 国際競争が激しい衛星打ち上げビジネスへの参入にも再び道が開かれた。 打ち上げ直前にロケットと地上設備とのデータのやりとりに不具合が発生し、予定より1時間16分遅れた。 発射後、太平洋上空を東南東に向かって上昇。 計画通りのコースをたどり、2段目から衛星を分離した。 衛星は今後、エンジン噴射を繰り返して軌道を変え、順調なら3月8日午後、東経140度、赤道上空約3万6000キロの静止軌道(地球の自転と同じ周期の円軌道)に入る予定。 前回の6号機は、固体ロケットブースターの噴射口から高温の燃焼ガスが漏れ出し、ブースターを分離する配線を切断。 ブースターが付いた状態で飛行コースを外れたため、政府の情報収集衛星2基を搭載したまま地上からの指令で破壊した。 jaxaなどは打ち上げ再開に向け、ブースターの設計変更だけでなく、機体全体の総点検を行い、万全を期した。 mtsat−1rは、03年5月に運用停止した気象衛星「ひまわり5号」の後継機で、航空管制の高度化も担う。 順調なら5月末にも運用を始める。 h2・8号機が99年に同タイプの「mtsat」打ち上げに失敗したため、国土交通省と気象庁が163億円をかけて新たに調達した。 日本の気象観測は現在、米国の衛星「ゴーズ9号」の観測データを使ってしのいでいる。 しかしゴーズも打ち上げ後10年で老朽化が進み、故障の不安が大きい。 台風上陸など自然災害が相次ぐ中、30分ごとにデータが送れるなど観測精度が大幅に上がるmtsat−1rへの切り替えが急務となっていた。 7号機では、将来の衛星打ち上げ能力向上のため、2段目の飛行データを得る実験も行った。 打ち上げ後に会見したjaxaの立川敬二理事長は「打ち上げが無事終わったことを報告する。 いろいろな方々の期待がかかる中、職員一丸となった努力が実を結んだ」と語った。 h2a7号機は全長53メートル、直径4メートル、重量約320トン。 今回はjaxaに代わり、国内の宇宙航空メーカーが設立した打ち上げサービス会社「ロケットシステム」(東京)が国交省、気象庁から衛星打ち上げを受注。 機体製造など打ち上げの最終作業以外の業務全般を請け負う、初の民間委託による打ち上げだった。 打ち上げ費用は約120億円。 【内田久光】 ◇名称は「6号」検討 新衛星の命名は、5月末に予定される運用開始時点で決定する。 気象衛星としては「ひまわり」が定着していることから、気象庁は大きな異論がなければ「ひまわり6号」とする方向で検討している。 【鯨岡秀紀】 ▽中山成彬・文部科学相のコメント 前回の打ち上げ失敗を受け、技術・体制の両面から対策を講じると共に、設計の基本に立ち戻った総点検を実施するなど、これまで取り組んできたことが実を結んだ。 8号機以降の打ち上げについても最善を尽くしてほしい。 ▽井口雅一・宇宙開発委員会委員長のコメント h2aロケットが確かな信頼性を示したものだと実感している。 運輸多目的衛星新1号が目的を達成すると共に、8号機以降の打ち上げも国民の期待に応えられるよう、関係各位はさらに気を引き締めてほしい。 今後、我が国の宇宙開発利用を信頼性の高いものとするよう努力していく。 (毎日新聞) -