◇台風被災のふるさと再生 北但1市5町(旧豊岡市、城崎・竹野・日高・出石・但東町)の合併に伴い誕生した新「豊岡市」の市長選が24日、告示された。 旧豊岡市長を1期務めた中貝宗治氏(50)=自民・公明推薦、連合但馬支持=以外に立候補の届け出はなく、無投票での初当選が決まった。 任期は5月1日から4年間。 【武井澄人】 中貝氏の事務所開きは午前9時から。 旧5町長や衆院議員2人が顔をそろえたほか、新潟中越地震で被災した新潟県旧山古志村長の長島忠美(ながしまただよし)氏も応援演説に駆けつけた。 支持者ら約300人(陣営発表)を前に、中貝氏は、台風で傷ついたふるさとを1日も早く再生する▽災害に向け、現実的で安全・安心な備えを構築する▽市民との対話で新市が目指す方向性を定める――と強調。 「人口規模は小さくても、世界の人々に尊敬・尊重される『小さな世界都市』を皆さんとともに実現したい」と訴えた。 午後5時過ぎ、選挙カーで新市を駆け足で一巡した中貝氏が戻ると、待ち受けた支持者が握手攻めに。 万歳三唱し、長女美穂(みほ)さん(19)らから花束を受け取った中貝氏は喜びに顔を紅潮させ、「正直言って自分の考えを隅々まで市民に伝えられたと思っていない。 これからの宿題にしたい」と強調。 「不安と懸念、自信と誇りが同居しているのが新市の実態。 皆さんとの共同作業で必ず素晴らしい町はできる。 その具体的な道筋を見せることが出来るよう、人生をかけて頑張りたい」と改めて意欲を見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■視点 ◇新市民の心どう結ぶか 新・豊岡市の初代リーダー選びにふさわしい政策論争と、投票の貴重な機会を逸した市民には、不満の残る結末かもしれない。 特に旧5町の住民にとって、そうした思いはなおさら強いはず。 一方で、中貝氏が改めて市政を担うという展開は、ある意味で必然という見方もできる。 `23|の後、中貝氏は被災地の「顔」として復旧復興の支援を求めて飛び回り、マスコミを通じて被災地の窮状を訴え続けた。 これらが、国が900億円を投じる円山川緊急治水対策につながり、3億円を超える全国からの義援金などに表れた。 1市5町の合併協議も他地域に比べ、順調に進んだ。 少なくとも、旧市長時代の中貝氏は相応のリーダーシップを発揮したといっていい。 先行き不透明さを抱える一地方都市で、実績を伴ったこうした手腕に対する一定の評価が裏返しとなり、無投票当選につながったといえるのではないか。 とはいえ、「自分たちを忘れないで」という旧町民の不安や、「豊岡中心主義」への根強い不満は依然くすぶる。 市民との対話重視を強調する中貝氏だが、旧市に比べ面積は4倍以上になり、人口も倍増した。 災害からの復旧復興はもちろん、市民の心をいかに結んでいくか。 その知恵と行動に、9万3000人市民の鋭い視線が注がれる。 【武井澄人】 ……………………………………………………………………………………………………… ■人物略歴 中貝宗治(なかがい・むねはる)50 無新(1)旧豊岡市長1期[歴]県職員▽県議3期▽[元]豊岡病院組合管理者▽北但合併協議会長▽京大=[自][公] 〔但馬版〕 4月25日朝刊(毎日新聞) -