◆忘れ得ぬ、あの日あの時 ◇子供たちがこんな絵を描く時代に二度としてはならない ◇ゼロ戦、軍艦…少年時代の古い絵 60年前の古い絵からは、軍国教育の跡がありありと浮かび上がる。 愛知県春日井市鳥居松町の元会社経営、山田昭さん(68)宅に残る絵。 少年時代に描いたゼロ戦や軍艦など戦争絵画ばかりだ。 山田さんは「子供たちがこんな絵を描く時代に二度としてはならない」と平和の大切さを訴えている。 山田さんは三重県波瀬村(現一志町)に生まれ育ち国民学校に入学。 絵画が得意だったため、終戦を迎えた3年生までの絵画や通信簿を大切に保管してきた。 `195915|で家財道具が流されたが、絵は奇跡的に残った。 粗雑なわら半紙約20枚にクレヨンで描かれているのは、軍艦の前に立つ軍人や急旋回するゼロ戦、戦う兵隊など。 裏には教師が押した「優」の印が残る。 山田さんは「夢は兵隊になることだった。 敵を殺す兵隊は偉いと思っていた」と振り返る。 敗戦直後。 女性の担任が教室で「日本は負けました。 これから一生懸命日本のために頑張りましょう」と話しながら、ボロボロと涙を流したという。 「先生まで泣かしてしまう戦争が一気に嫌になった」。 山田さんの絵のモチーフは戦後、風景画や女優などに代わった。 山田さんは`195915|で画材を失い、絵画から遠ざかったが、今年4月から再び絵筆を握り、油彩画に取り組んでいる。 小学生の孫に当時の絵画を見せ、戦争の話をすることもあるという。 世界ではテロが頻発し、日本では自衛隊のイラク派遣などが議論を呼んでいる。 山田さんは「終戦当時は一億総玉砕に向かい、子供の心まで戦争に駆り立てられた。 一度戦争が始まれば核兵器も何でも使われる可能性がある。 戦争を二度と繰り返してはいけない」と語気を強めた。 【桜井平】 8月15日朝刊(毎日新聞) -