強い勢力のまま北上してきた`11|は25日、自転車並みのゆっくりとしたスピードで東海、関東へと進み、1時間に100ミリの記録的な大雨を降らせた。 静岡県や神奈川県では1万を超える世帯が停電し、漁船も近くの港に避難した。 東京駅や上野駅発の夜行列車はすべて運休し、空や海の交通も大きく乱れた。 関東各県には相次いで大雨警報が出され、各自治体が警戒態勢を敷いた。 ■空の便 国内線は25日朝から羽田空港や愛知県の中部国際空港発着の便を中心に九州から北海道まで広範囲で欠航が相次いだ。 午後8時半現在、日本航空は中部国際のほか関西国際、福岡、札幌発羽田着など30便、全日空では羽田―伊豆諸島航路を中心に27便が欠航を決め、両社で計7500人に影響が出た。 ■鉄道 jr東海道新幹線は、午後6時前から静岡県焼津市内にある風速計が規制値の風速30メートルを超えたため、静岡―掛川間で上下線が断続的に運転を見合わせた。 jr各社によると、東京―熊本・大分間の「はやぶさ・富士」、上野―札幌間の「カシオペア」など夜行列車計27本が運休。 中央線の特急は、新宿または松本駅を出発する予定だった上下計9本が運休した。 西武鉄道も特急の上下計52本の運休を決めた。 つくばエクスプレス(tx、秋葉原―つくば間)は24日の開業から最初の台風に遭遇。 社員の約3分の1に当たる150人を勤務終了後も待機させ、通常勤務の50人とともに警戒した。 ■jr新宿駅 東京都新宿区のjr新宿駅西口では、風雨が強まる前に帰宅しようと、終業時刻とともに改札口へ直行する会社員らで混雑した。 地下通路では作業員が雨漏りの補修に追われ、電光掲示板は一部路線の運休を伝えた。 男性会社員は「飲み会が中止になったので、真っすぐ帰ります」と傘を手に改札をくぐった。 ■船の便 東海汽船は、東京―大島や八丈島、静岡県の熱海―大島などを結ぶ高速船が、25日の始発から全便欠航したほか、東京と三宅島、大島、八丈島などを結ぶ定期船が欠航。 26日も伊豆諸島から東京に向かう定期船は欠航する。 高速船は26日午前6時の段階で運航するかどうかを決めるという。 神奈川県の久里浜と千葉県の金谷を結ぶ東京湾フェリーも25日は全便が欠航した。 26日は午前中の便は欠航を予定しているが「午後は天候の回復状況を見て判断する」としている。 このほか、太平洋フェリーは、午後8時に名古屋を出発する仙台行きの便が欠航したが、仙台―苫小牧便は通常通り運航。 26日の便は午前9時に決定する。 ■箱根 神奈川県箱根町では2時間に200ミリの猛烈な雨となった。 元箱根で民宿を経営する消防団員、飯島一郎さん(45)は「警戒のため、すぐに団の詰め所に来てくれ」と電話を受け車で向かったが、途中の道路が土砂崩れで埋まり、引き返した。 「雨と風がひどく、とても出歩ける状態ではない」という。 同町湯本の旅館「仙景」(彦田幸雄支配人)では、台風を警戒して4組のキャンセルが出た。 夜、従業員数人が玄関前に約20個の土のうを積んで備えた。 箱根の道路は、スカイラインなどの有料道路を含むすべてが土砂崩れのおそれがあるとして通行止めになった。 ■都庁 大雨洪水警報の発令に伴い、東京都は25日午後1時7分、水防本部(本部長=岩永勉・建設局長)を設置し、340人態勢で道路の冠水や河川の増水などの監視を始めた。 また、都総合防災部は約50人の災害連絡体制をとり、区市町村の被害状況報告の取りまとめにあたった。 都内では`11|の接近に備え、青梅市が同市御岳山の2世帯(5人)に避難勧告を出した。 5人は近くにある市の集会所「御岳山ふれあいセンター」に避難した。 2世帯の住宅兼宿坊2軒が建つ急傾斜地では、7月の`7|による土砂崩れの復旧工事が済んでいなかった。 (毎日新聞) -