九州全域を暴風域に巻き込んだ`14|は6日、県内にも強い雨風をもたらした。 竹田市では土砂崩れで民家が川に押し流されて2人が行方不明となり、各地で河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れなどが起き、家屋や道路などが損壊した。 jrやバスなどの交通網はほとんど運休で寸断され、公立小中学校のすべてが臨時休校。 11日に投票を迎える衆院選の選挙運動にも大きな支障が出た。 ■竹田市で2人不明 「一瞬で家が流された。 ぼう然と見てるしかなかった」。 竹田市荻町南河内で6日起きた土砂災害で行方不明となった阿南具子(ともこ)さん(68)の夫聖一さん(70)は、捜索作業を見守る近所の知人宅で、憔悴(しょうすい)した表情で当時の状況を語った。 6日午前11時半ごろ、小規模の土砂崩れで家の裏壁が壊れ、具子さんが手を負傷。 聖一さんら3人はいったん外に出たが、具子さんはけがの具合を見るため家に戻った。 最初の土砂崩れの後、様子を見に来ていた近所の佐藤千代子さん(58)は家の中で電話中だった。 勤務先の休みで家にいた長男浩二さん(43)と聖一さんが外で様子を見ていると、裏山の方から泥水が道路に流れ出した。 「危ない」と思った瞬間、目の前で母屋など4棟が次々に押しつぶされ、段々畑を下って約150メートル先の滝水川まで流された。 聖一さんは「こんなことが起きるとは思わなかった。 早く探し出してもらいたいが、2次災害を考えると無理も言えない」と話し、すぐそばで浩二さんも突然の出来事に頭をうなだれた。 この日の捜索は悪天候などの影響で夕方打ち切られ、7日朝から再開の予定。 ■被害状況 竹田市の土砂崩れで2人が行方不明となったほか、湯布院町下湯平の無職、渡辺ハマ子さん(76)方が近くの河川の氾濫で床上浸水。 しかし、渡辺さんが避難所などにおらず、行方不明になっている。 また、宇佐市の女性(89)が風にあおられた自宅のシャッターで頭を打つなど、計2人が軽いけがをした。 県によると、6日午後5時現在、県内の家屋被害は全壊2戸▽床上浸水5戸▽床下浸水160戸。 避難状況は、避難勧告より状況が切迫している場合に出される「避難指示」が大分市野津原、湯布院町石武地区で30世帯71人。 避難勧告は計7257世帯で、自主避難は652世帯1204人。 また、九州電力大分支店によると、佐伯、大分市などを中心に同5時現在で1万9500戸が停電した。 ■交通機関 jr九州は始発からほぼ全線で運転を見合わせた。 航空、フェリー各社も大分発着の便はすべて欠航。 路線バス各社も終日全面運休した。 高速道路も一時全線通行止めとなり、一般道路は6日午後5時の時点で207カ所が通行止めや片側通行。 7日は日本航空が午前中1便の欠航を決めており、jrやフェリー各社などは状況を見て判断する。 ■臨時休校 県教委によると、県内すべての公立小中学校487校が臨時休校となり、公立高校(定時制を含む)も60校中59校が休校、1校が自宅待機となった。 7日は当日朝に方針を決める学校が多いという。 ■各地で大雨 大分地方気象台によると、4日午前5時の降り始めからの雨量(6日午後5時現在)は、竹田市倉木で912ミリ、佐伯市宇目で733ミリを記録。 両市と臼杵、豊後大野市、湯布院町でも500ミリを超えた。 同気象台は「記録的な大雨」と話しており、引き続き土砂崩れなどへの警戒を呼び掛けている。 7日は県内の一部で雨が残るものの、晴れや曇りの予報。 ■選挙への影響 台風の影響で、期日前投票所を一部閉鎖したり、終了時間を繰り上げる自治体が出た。 津久見市は4カ所の期日前投票所のうち、保戸島など3カ所を終日閉鎖。 豊後高田市も午後8時まで行う市健康交流センターでの投票を午後5時で、杵築市は午後2時で打ち切った。 一方、ほとんどの候補者が選挙カーでの街宣をやめ、被災地の視察やお見舞いなどに切り替えた。 著名人の来援も次々キャンセルとなり、やきもきする陣営もみられた。 9月7日朝刊(毎日新聞) -