◇国内外にメッセージ「ともに行動を」 ◇自然を守り未来築こう コウノトリの試験放鳥に合わせ、豊岡市内で開催していた「第3回コウノトリ未来・国際かいぎ」は25日、“歴史的事件 の興奮が冷めぬまま第2日を迎えた。 「人と自然が共生する持続可能な地域づくり」をテーマに四つの分科会で議論し、全体会では、ともに行動するよう国内外に呼びかけるメッセージを採択し、閉幕。 試験放鳥をきっかけに集まった人間の英知は、具体的に試される段階へと歩み始めた。 【長谷川哲雄、武井澄人】 第4分科会「世界へ、未来へ、次世代へ~コウノトリ子どもかいぎ」は、県立コウノトリの郷公園内のコウノトリ文化館であり、日本とロシアの子どもたちによる実践発表や、3グループに分かれたワークショップなどが行われた。 まず、ケビン・ショート東京情報大学教授が「どういう地球で生きていきたいか、子どもたちに考えてもらいたい」と基調講演。 実践発表では▽ロシア・ハバロフスク地方、アムールスク環境教育センターの13~16歳の生徒4人が、コウノトリの観察について▽宮城県田尻町立大貫小の4人が、今年11月にラムサール条約登録予定の蕪栗沼周辺の自然について▽新潟・佐渡島の行谷小3人が、トキの野生復帰に向けた取り組みについて――それぞれ説明した。 また、豊岡市の郷公園近くの三江小の4人は、どんな生き物が周辺にいるのか調べたり、父母に放鳥についてアンケート。 「自然を大切にすることで、台風にも負けない山や川になればいい」と発表。 昨年の`23|水害で校舎が冠水した同市の小坂小の5人は、なぜ出石川が決壊したかを調査。 上流の森が荒れていたことから、「山と川は田んぼでつながっていることが分かった」と話した。 ◇復帰検証「第1分科会」に230人、取り組みにエール次々 ◇ラストは「翼をください」 「コウノトリの野生復帰を検証する」と題した第1分科会には約230人が出席。 日本・韓国・ロシア・オランダでのコウノトリ研究や、野生復帰の先進例・カリフォルニアコンドルの実践が紹介された。 事例報告が盛りだくさんで「検証ではなく顕彰」(池田啓座長)になった。 報告後には「日本の各地に生息地を回復し、郷公園がコウノトリの供給源として機能すべき」(山岸哲・山階鳥類研究所長)などと、豊岡での取り組みにエールが相次いだ。 羽山伸一・日本獣医畜産大助教授も「国内の先進例として今の段階でやり得ることはできた」と一定の評価。 半面、「野生に帰した鳥が今後も生き続けるのをあまり期待しないほうがいい。 事故で死んだ場合、克明な検証で原因を究明し、生息地復元に活用するのが大きな犠牲に対する使命」と、一石を投じた。 豊岡市民会館文化ホールに会場を移した全体会では、保田茂・神戸大名誉教授(農学)が「『努力すればお金が得られる』という価値観は、生産に参加できない高齢者の増加や資源の高騰などで、ますます幻想になる。 心豊かな暮らしを見つめ直すため、昔の生活や経験を振り返るべき」と全体を総括。 身近な環境保全や、食料・エネルギーの自給生産などの項目を挙げ、「大人はやるべきことが多くあるのを自覚し、子どもたちにバトンを渡そう」と呼びかけた。 最後は、豊岡高校生物部ogで滋賀県立大2年の池上加奈子さん(20)が読み上げたメッセージ案を拍手で採択。 全員で「翼をください」を歌い、かいぎを締めくくった。 〔但馬版〕 9月26日朝刊(毎日新聞) -