◇網に数千匹、奮闘する漁師たち/漁獲高、通常の3分の1…深刻な被害 「エチゼンクラゲ(大型クラゲ)」が、2年ぶりに日本海を中心に大量漂流している。 例年より約1カ月早い出現。 25日未明、福井県越前町漁協・小樟(ここのぎ)定置網組合(山下一男組合長)の漁船に乗せてもらい、沖合で、続々と姿を現す巨大な物体に奮闘する漁師の姿を追った。 【田辺一城】 「毎日毎日網にかかって嫌になる。 昨年はあまり出なかったのに」 出漁前の小樟漁港で、漁師の岩崎久雄さん(65)が嘆いた。 傘の直径1メートルほどのクラゲが網に数千匹かかることもあり、被害は深刻。 越前町には三つの定置網組合があるが、エチゼンクラゲの重みで網が破れ、小樟以外は操業停止の状態だ。 午前3時14分、`17|の影響で細かい雨が降り、強めの風が吹く。 漁船「恵比須丸」に乗って出港。 15分ほどで漁場に着いた。 すぐに10人以上の漁師が仕掛けた網を力強く引き揚げ始めた。 「今年のクラゲは浮いてなくて沈んどる。 網を上げるまで分からん」と岩崎さん。 しばらくすると、照明で明るくなった海面にピンク色のクラゲが次々と浮上し、たちまち網いっぱいになった。 クラゲの間を飛び跳ねるイナダなどの魚をタモですくい上げていると、海鳥が頭上を飛び回り、魚を狙い下降してくる。 魚を取り終えると、漁師たちは木の棒を使ってクラゲを網の外に排除していった。 「これが大変なんや」。 魚をすくい上げるより、クラゲを取り除く時間が長い。 漁獲高は通常の3分の1まで落ち込んでいるという。 約3時間の漁を終えて港に戻った。 船長の榎木太喜男さん(58)は「せっかく網にかかった魚もクラゲが邪魔で取れんし、(刺されて)傷んでしまう。 早く去ってほしい……」。 前回大発生した03年は年明けまで漂流した。 被害は日本海から太平洋沿岸まで拡大している。 今年も漁師の戦いが続く。 9月30日朝刊(毎日新聞) -