色鮮やかな手描きのミカンを見て少し胸が痛みました。 先日開いた05年農業記録賞の県表彰式に出席した優良賞のミカン農家、高田和江さん=宇和島市吉田町=から丁寧なお礼状をいただきました。 届いた日に、山間部でミカンに雪やあられによる雪焼けの被害が出ているというニュースが飛び込んできたからです。 師走とは思えない本格的な寒波が、日本列島を襲っています。 県内でも13日に暖房の使用が増え、1日の電力使用量が冬季記録を更新。 16日朝には南予方面に向かった支局員が戻ってきました。 松山自動車道は伊予―西予宇和間で通行止め、国道56号もチェーン規制が出たからです。 私にとって7年ぶりに過ごす松山の冬。 当時は自転車通勤をしていました。 「こんなに寒かったかな」と記憶をたぐってみますが、思い当たりません。 まるで温暖の地の象徴であるミカンが、悲鳴を上げているかのようです。 お正月に向けて収穫に忙しい農家にとって、丹精込めて育てた作物が出荷直前に傷んでしまう悔しさは計り知れません。 しかし、これまで農業記録賞に応募いただいた多くの作品に目を通すと、農業に携わる人たちは台風や塩害など天災に何度も煮え湯を飲むような思いをしながら自然に向かっていることに改めて気づきます。 だからこそ、納得できる作物を無事出荷できる喜びは、より大きいのでしょう。 農業を取り巻く環境は今、大きく変わってきています。 単身赴任者には、サラダを作るのにキャベツやレタスを1個丸ごと買って残りを駄目にしてしまうより、1人用にあらかじめ切り分けたパック野菜の方が重宝です。 1円でも安い買い物が主婦の感覚かと思ったら、デパートの食料品売り場では驚くような高値の高級果実も並んでいます。 消費者のニーズは多様化し、産地直売店など流通ルートも変わってきています。 毎日新聞社と愛媛県が主催、松山市などが後援する第55回全国農業コンクールの開催が来年7月20日、松山市で予定されています。 松山支局ではこれを機に、新年から県内の食と農業の現状を見つめ直す連載を考えています。 支局員は農業に従事される方はもちろん、消費者の皆さんにも参考になる情報を盛り込もうと張り切っています。 ご期待ください。 この欄は今回が年内最後になります。 今年もあと10日あまり。 少し早いですが、よい年をお迎えください。 【松山支局長・井上康雄】 12月19日朝刊 (毎日新聞) -