「県民がつくる宮崎防災ネットワーク」が発足した。 昨年の`14|を教訓にして、地震、台風、水害などの被害を最小限に食い止めるための連携作りを進める。 主体は行政ではなく、ボランティア団体と企業だ。 中でもさまざまな企業の参加を前面に押し出した点が今回のカギである。 `14|の際は、県内外のボランティアが大活躍した一方、ボランティア精神により地元企業も復興を手助けした。 運送会社や土建会社などは、浸水した家財道具などを運び出すトラックやダンプを提供したし、ボランティアを運ぶシャトルバスを提供したホテル業者もあった。 作業に必要なスコップ、バケツ、一輪車、ゴム手袋、消毒液、テント、地図などをそれぞれ提供した企業もあった。 さまざまな業界にはそれぞれの得意分野がある。 宅配業者は、誰がどこに住んでいるのかを知っている。 どの集落に一人暮らしの高齢者がいるのか、その集落への抜け道はあるのかなども知っている。 ガス会社は、炊き出しに使うガスボンベを提供できる。 飲料水を運搬する特殊車両を持つ業界もある。 各企業がそれぞれの得意分野を持ち寄れば、心強い防災態勢ができる。 宮崎市で開かれた同ネットワークの設立総会では、宮崎銀行員が`14|の時の取り組みを紹介した。 同行員は3日間で延べ174人が被害地域に入った。 6、7人でチームを作り、浸水した家具や廃車を処分する作業に当たった。 散乱する汚物を手袋でつかみ、水を吸った畳は6人で持ち上げるのがやっとだったという。 泥まみれの若い行員は「地方の金融業という自分の仕事の意義を初めて実感した」と語ったという。 そうなのだ。 防災ネットワークに企業が参加する意味がここにある。 健全な地域社会があってこその経済活動であり、地元企業なのである。 同行の活動に対して「企業の売名行為だ」という声が聞こえてきたという。 困っている人に手を差し伸べることは、確かに心理的には“究極の営業活動 ではある。 だが、これを「売名行為」として傍観することと、家財道具の全滅でぼうぜんとする被害者を励ますことの、どちらが人間の行為として尊いかは、明らかなことだ。 災害という非常事態は、大切なものの優先順位を決めるよう私たちに迫る。 その答えは、命、地域、金もうけの順番だろう。 宮崎支局長・大島透 7月18日朝刊 (毎日新聞) -