`10|の九州接近に伴い湿った暖かい空気が上流部に流れ込んだ影響で、17日午前11時ごろ、神奈川県西部を流れる酒匂(さかわ)川が増水。 流域でアユ釣りをしていた男性25人が流されたり中州に取り残されたりした。 うち横浜市戸塚区名瀬町、無職、居山法正(いやまのりまさ)さん(70)が死亡、藤沢市西富、無職、杉崎光男さん(66)が行方不明となり、県警などが捜索している。 3人が自力で岸にたどり着き、20人が救助された。 【堀智行、野口由紀、稲田佳代】 県警によると、現場は▽同県山北町の高瀬橋と岩流瀬橋▽同県開成町の十文字橋と新十文字橋▽同県大井町の大井高校付近▽同県小田原市中曽根の小田原アリーナ付近の6カ所。 居山さんは午後0時半ごろ、同アリーナ付近の中州から仲間と岸に戻ろうとして流された。 遺体は約1時間後、同市東町の小田原大橋付近で見つかった。 杉崎さんは午前11時ごろ、仲間の男性(57)と山北町の高瀬橋付近で岸に上がろうとして流された。 男性は自力で脱出した。 事故は、静岡県御殿場市から流れ込む支流の鮎沢川と、神奈川県内の支流の河内川の合流点より下流で起きた。 県河川課によると、事故現場の上流部の水位は午前10時15分に48センチで、30分後に112センチに急激に上昇していた。 気象庁によると、17日午前8時から11時にかけ、御殿場市から神奈川県山北町周辺にかけ強い雨雲が通過。 山北町付近の17日の降水量は正午までに44.5ミリ。 午前9時からの1時間に16.5ミリの強い雨が降るなど、酒匂川が増水しやすい気象状況だったという。 ◇「放水と無関係」 鮎沢川では、午前8時に毎秒13トンだった流量が同10時15分に同70トンにまで増加。 一方、河内川では、丹沢湖との境にある三保ダム(山北町)が未明から放水量を増やし、午前11時半ごろには通常のほぼ倍の毎秒23トンを放水していたが、県の管理事務所は「放水後も河内川の流量はほとんど変化しておらず、下流の増水と放水に因果関係はない」としている。 県の同ダム操作規則では、下流にサイレンや防災無線で警告するのは同25トン以上の放水時だけで、今回は警告をしなかった。 ◇想像力働かせ自ら守る必要 ▽消防大学校などで水難事故防止や救助の講師を務める藤原尚雄さんの話 酒匂川は普段は水量が少ないが、上流の流域が広く、急に増水しやすい。 釣り客に川への慣れからくる気の緩みがあったか、これまでの経験を超えるほどの急増水があったのだろう。 ダムの放水も行政が下流域の住民にすべて注意を呼び掛けられるとは限らない。 川では、自分たちがいる場所で雨が降っていなくても上流で降ったらどうなるか想像力を働かせて自らを守る必要がある。 (毎日新聞) -