◇大地に響け、よみがえったポプラの音色−−北大「ポプラ並木」の倒木活用 滑川町に住むハープシコード製作家の横田誠三さん(54)が、2年前の台風でなぎ倒された北海道大学のポプラの木を使ってチェンバロを完成させた。 倒木活用を検討していた北大側の依頼に応えたもので、21日夕には町役場に町民を招き産声コンサートも開いた。 チェンバロはまもなく北海道に“里帰り するが、横田さんは「北海道のみなさんによみがえったポプラの音色を聴いてもらいたい」と喜んでいる。 ポプラ並木は一昨年9月8日、`18|の強風を受け、51本中19本が倒れた。 この際、北大の倒木活用の取り組みを知った北海道教育大学岩見沢校の市川信一郎教授が、北大にチェンバロ製作を提案した。 チェンバロは16~18世紀西欧で使われたグランドピアノを小さくしたような鍵盤楽器。 ポプラ材がチェンバロ製作に良いといわれており、北大がこの案の採用後、親交のあった市川教授から横田さんに依頼話が舞い込んだ。 「クラーク博士の大志の象徴がチェンバロとして、ゆかりの地で生き続けることができれば素晴らしい」。 製作を快諾した横田さんは、自然乾燥を経た7本を使い、昨年夏から滑川町の工房で製作を開始。 約1年がかりで2台を完成させた。 チェンバロには「札幌の地に生まれ、嵐によって倒れ、ここによみがえる」などとラテン語で記入した。 2台のうち、1台は北大、もう1台は市川教授にまもなく納品され、倒木した日に合わせ来月8日には、北大でお披露目コンサートなどが予定されている。 このため、「チェンバロが引き渡される前に、誕生の地で町民にも聴いてもらいたい」と横田さんが町役場にコンサート開催を持ちかけた。 会場の役場には約100人が詰めかけ、横田さんの妻まゆみさんが演奏するバロック調の美しい調べに酔いしれた=写真。 横田さんは「7本の倒木は節が多くて、木採りに苦労した。 (完成まで)足かけ2年がたち、やっと肩に荷が下ります」と話した。 【橋本利昭】 8月23日朝刊 (毎日新聞) -