◆貝の資料館モラスコむぎ(徳島県牟岐町) ◇来館者増に知恵絞る−−ただ1人の女性職員、脇田さん 徳島県牟岐町の「貝の資料館モラスコむぎ」には、館長の水上雅晴さん(34)のほか、県外出身の職員3人がいる。 ただ1人の女性職員、脇田有紀さん(23)は、大阪市出身で4月に同町にやってきたばかり。 併設する「漁師さんの水族館」の担当として、観光客向けのイベントの企画などに知恵を絞る。 【加藤明子】 ゴールデンウイークの5月1日と2日、台風の接近で、牟岐町は大雨に見舞われた。 モラスコむぎの玄関で、脇田さんは雨の音を聞いていた。 初めてイベント企画を任されたが、誰も立ち寄らない。 「このまま誰も来なかったらどうしよう」。 不安は徐々に膨らんだ。 ◇ ◇ 脇田さんが企画したイベントは、粘土状の消しゴムで海の生き物を作る「消しゴム水族館」。 台風が通過すると来館者も増えた。 サンゴ礁を入れた水槽に飾った見本を見せると、子どもたちも乗ってきた。 「何が作りたい」と尋ねると、子どもたちは「サメ」「ニモ(カクレクマノミ)」「お姉ちゃん、ジンベイザメの作り方教えて」。 結果はまずまず。 地元の子どもや帰省中の親子連れら109人が参加した。 今も、子どもたちが書いた感想を読み返す。 「引っ込み思案で、尻込みしていてもだめ。 もっと子どもたちの喜ぶ顔が見たい」と話す。 ◇ ◇ 子どものころ見た水族館はきらきらした夢の空間。 中学生のころから水族館で働くのが夢だった。 大阪市内の専門学校で水族館経営を学び、4月に同館に採用された。 日本動物園水族館協会(東京都)に所属する水族館は全国に68施設。 実際はその倍近い水族館がある。 1960年代に一気に増えたが、入館者数は頭打ち傾向で、採用は少ない。 アルバイトや契約社員などの雇用形態が増え、脇田さんが卒業した専門学校では学生100人当たりの求人が3~4件。 「全国どこへでも行くという気持ちでなければ就職できない」と聞かされた。 水族館の職員に求められる資質も変わった。 「他人と話すのが苦手な人が多かったけど、今はそれではやっていけない」(同協会)。 写真集やテレビで動物の画像が気軽に見られる。 好奇心をくすぐるイベントで来館者をひき付けようと、どこも必死だ。 見せ方を工夫し、エンターテイナーとしての魅力が求められる。 ◇ ◇ 漁師さんの水族館でも多彩な行事を企画。 日が暮れてから、飼育員が懐中電灯を手に夜行性の生き物を案内する「ナイトアクアリウム」、サメやウニなど8種約60点の生き物を触る「タッチングプール」。 子ガメを放流するイベントで、子ガメを見た瞬間のお客さんの目の輝きが忘れられない。 「育てるだけじゃなく、生き物の魅力を伝える側になりたいと思った。 10年先のことは考えられないけど、自信を持てる飼育員になりたい」。 脇田さんは水族館の担い手としての将来を、そう描いている。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇ミュージアムガイド 【住所】徳島県牟岐町灘下浜辺198の1 【電話番号】0884・72・2520 【入館料】大人300円、小中学生200円 【開館時間】午前9時~午後4時半 【休館日】毎週月曜日(祝日ならその翌日) 【行き方】jr牟岐駅前から海よりに車で約5分。 徒歩で20分。 道路沿いに「モラスコむぎ」の看板あり 9月5日朝刊 (毎日新聞) -