佐賀市で最大瞬間風速50.3メートルを記録した`13|は、伊万里市で鉄砲水に流された親子を含む死者3人、重軽傷者19人を出す猛威を振るった。 建物の損壊や浸水は、南からの風をもろに受ける有明海沿岸の川副町、東与賀町、小城市などを中心に計735棟に上った。 一時は唐津、武雄の2市で51世帯173人に出されていた避難勧告は、18日午前10時過ぎに解除された。 しかし、唐津市相知町田頭地区の住民ら17世帯61人が18日夜も依然として自主的に避難生活を送っている。 電線の切断による停電は、佐賀市を中心に最大で12万4000戸(県内全世帯の約28%)に上った。 18日午後8時現在、2万8700戸でまだ停電が続いている。 切断個所が多いため、全面復旧は19日正午ごろになる見込み。 【姜弘修、朴鐘珠、高芝菜穂子】 ◇停電で食品廃棄 スーパー総出で 佐賀市南佐賀のコープさが南店では18日、開店時間の午前9時半になっても店内の明かりが消えたまま。 店員が総出で薄暗い陳列棚の間を行き来し、停電のため保存が利かなくなった冷凍食品や生鮮食品の廃棄処分に追われた。 アイスクリームや冷凍コロッケの他、豆腐や牛乳などが次々にゴミ袋へ投げ込まれていく。 鮮魚コーナーでも旬のサンマや高級魚アラカブが発泡スチロールのトレーから出されて分別回収へ。 同店では17日午後7時に停電した後、自家発電機で急場をしのいだが、頼みの綱の燃料が18日早朝に切れた。 午前11時ごろに復旧して開店したものの、副店長の副島圭樹さん(43)は「3連休に備えて商品を多めに仕入れたのが裏目に出た。 損失は見当もつかないが、数百万円は間違いないでしょう」と肩を落とした。 一方で、佐賀市のユートク南佐賀店では、瓦の飛んだ屋根を修繕するブルーシートとトタン板を求めて、午前8時の開店時には20人ほどが行列を作るほど。 「ブルーシートはきょう1日で半年分の売り上げになるかも」と花岡悟店長(51)。 民家のほか、道路の信号機も停電した。 場所によっては1日以上も続く停電に、市民はうんざりした表情。 停電でポンプが使えず水も出なくなった佐賀市田代の男性会社員は18日夕、市内の銭湯へ一家4人で出かけた。 「復旧があまりに遅すぎる」と怒りの表情だった。 ◇処理施設に、ゴミどっと 台風一過の路上には折れた枝木やゴミが散乱。 佐賀市のゴミ処理施設「環境センター」には、ゴミ袋に入りきらない枝木や、割れた瓦などの不燃物を直接持ち込もうと、市民の軽トラックやワゴン車が押し寄せた。 合併前の旧佐賀市のゴミが集まる同センターでは、普段の月曜日だと持ち込みゴミが約100件ほど。 しかし18日は午前中だけで140台の車が渋滞を作った。 対応に追われる職員は「本当ならきょうは祝日だからゴミの量も3割ほど減る計算なのに」。 ◇自宅に戻れない 唐津土砂崩れ被災住民ら 唐津市相知町中山の相知交流文化センターでは、16日の土砂崩れで自宅が損壊して戻れない住民や、電気が復旧していない住民ら9世帯28人(18日午後5時半現在)の避難生活が続いている。 土砂崩れで自宅が損壊した山田和行さん(56)は「眠れないし、ストレスもたまっている。 家は水浸しでもう壊す以外ない。 25年前に建てて来年の2月にやっとローンが終わる予定だったのに」とやりきれない様子。 自宅に土砂が押し寄せ長男ら3人がけがをした清水重司さん(67)は「裏山に亀裂が入っており、2次災害の危険があるため、家も土地も山も全部あきらめないといけない」と肩を落とした。 同市では、こうした住民のために、近くで使われていない空き屋をピックアップした。 ただこれから家主との交渉を始め、いつ提供できるようになるかはメドがたっていないという。 ◇ノリ網支柱被害 漁業者たち嘆息 川副町犬井道の戸ケ里漁港には、高潮で木材やアシなどが大量に押し寄せた。 ノリ養殖網の支柱立てがピークを迎えた最中の台風襲来で、来月上旬から養殖が始まる漁業者たちが、朝から片付けに追われた。 1本1本を手作業で立てる支柱立てはピークを迎えていたが、漁業者の1人、江頭功さん(69)は「すべてやり直しだろう」と嘆息。 「これほどの被害はめったにない」と話していた。 9月19日朝刊 (毎日新聞) -