◇自然の懐に抱かれよ ◇大勢の市民が見守る 豊岡市大磯町の円山川河川敷で行われた2度目の自然放鳥。 移動箱から飛び出した3羽のコウノトリが大空を舞う姿に、多くの観客が酔いしれた。 昨秋放鳥するなどした7羽が県立コウノトリの郷公園の餌に頼る「餌付け状態」の課題を抱えての野生復帰計画だが、郷公園の増井光子園長は「人間の思いどおりにいかないし、想像もしない行動をするのがコウノトリ。 これからが楽しみ」と話した。 放鳥前の式典では、五百蔵(いおろい)俊彦・副知事と中貝宗治・豊岡市長があいさつ。 中貝市長は、放鳥場所が04年秋の`23|の決壊場所から300メートルしか離れていないことに触れ、「円山川のもたらす『いいこと』も『悪いこと』も受け入れ、コウノトリと共に暮らしていきたい」と話した。 箱を飛び出した3羽は、向かい風に流されるように向きを変えて、円山川の上流方向に。 10分もしないうちに、河川敷に降りてたたずむ姿も見られた。 公募で選ばれ移動箱のテープカットをした豊岡市三宅、小崎成留くん(3)は、放鳥したコウノトリが落とした羽根をもらって大喜び。 母の志保さん(31)は「この子が大きくなったころ、たくさんのコウノトリが飛ぶ姿が当たり前の光景になれば」と話した。 増井園長は「3羽はまだ少年少女。 初めての自然界にしては合格点」とにっこり。 放鳥2年目について「数も増え、来年には野生での繁殖に成功する可能性は高い」と話していた。 【山口朋辰】 ◇コウノトリとの共生目指し、「地域力」で「16羽」と−−フォーラムで専門家が指摘 この日の放鳥式典に先立ち、「コウノトリと共生する地域づくりフォーラム」(県、県教委、豊岡市主催)が、豊岡市の市民会館文化ホールであった。 出席した専門家らは、地元住民らの協力による「地域力」の重要性を強調。 市民ら約650人が熱心に聞き入った。 コウノトリ放鳥1周年を記念し、「野生復帰に向けて、自然環境保全や地域づくりの輪を広げるために」をテーマに行われた。 フォーラムでは、コウノトリの郷公園の増井光子園長が、1年前の自然放鳥以後の取り組みを報告し、「今後は計16羽が飛び交うことになる。 温かく見守ってほしい」と訴えた。 米スミソニアン研究所のデボラ・クレイマン研究員は、ブラジルに約1500頭生息するサル「ゴールデンライオンタマリン」について基調講演。 タマリンが一夫一婦など、コウノトリとの共通点を紹介し▽生息地所有者の保護への協力▽国民への啓発▽ブランド化が必要――と述べた。 パネルディスカッションでは▽地域の参加が野生生物保全のカギ(フィル・ミラー国際自然保護連合種の保存委員会スタッフ)▽地域が「コウノトリと一緒に住もう」という気持ちにならないと(保田茂・コウノトリ野生復帰推進連絡協議会長)▽コウノトリでもうかるという豊岡の特色である「環境経済」を推進(中貝宗治市長)▽円山川左岸の市街地がコウノトリの活用策を考えてほしい(池田啓・コウノトリの郷公園研究部長)――などとそれぞれ語った。 【吉川昭夫】 〔但馬版〕 9月24日朝刊 (毎日新聞) -