◇再延長なら操業開始影響 05年4月に始まった上関原発建設計画(上関町長島)の現地詳細調査は当初2年間の予定が、今年11月末まで約半年間延長された。 調査着手時、予定地の用地取得が不完全なまま踏み切った中国電力は、用地取得を巡り裁判で争う反対派らから「見切り発車」との批判も受けた。 訴訟は依然決着しておらず、調査が足踏みする可能性も出てきた。 調査終了が再延長されれば、原発の操業開始への影響も必至とみられる。 【近藤聡司】 中電は3月、今後10年間の電源開発計画を発表した際、詳細調査の期間延長を明らかにした。 原発の操業開始(1号機14年度、2号機17年度)は変更せず、今後の計画に支障はないとした。 計画では、詳細調査で得たデータを基に国への原子炉設置許可申請を07年末に予定。 国の安全審査に約2年間かかると見込んでおり、2年後に設置許可が下りれば1号機の着工が09年度中に可能で、その5年先を操業開始とする。 ◇ ◇ 詳細調査は陸上、海上での各60カ所のボーリング調査のほか、試掘坑調査や弾性波探査などを行い、周辺の地質や岩盤の強度などを調べる。 最も長期間かかるボーリング調査は陸上32カ所、海上26カ所で終えた(15日現在)が、全体の48%に過ぎない。 遅れた理由は複数ある。 中電は陸上ボーリング調査から着手したが、初日から反対派が調査現場を取り囲んで激しく抗議。 その後も、海上ボーリング台船の搬入を阻止するなど、反対派の抗議活動が断続的に続いている。 また、05年秋、中電は県に提出した環境保全計画と異なる方法で陸上ボーリング調査をしたため、2カ月半の中断があったほか、昨秋の台風で海上の大型ボーリング台船が流される被害も出た。 中電は調査の遅れが指摘され始めた昨年12月以降、上関町民に配る広報紙「かけはし」の号外版「詳細調査情報」を5回発行し、進ちょく状況を詳しく伝え始めた。 延長を発表した3月末以降も、台風被害を受けた台船の復帰や新たに海上ボーリング用の鋼製やぐら1基を現地に導入したことを報告。 今後、鋼製やぐらを7基程度まで増やし、現在稼働中の台船4基と合わせ、11月末の調査完了が可能なことを伝えた。 ◇ ◇ 一方、反対派との訴訟で15日、中電に有利な判決が出た。 控訴審で争った漁業補償訴訟で、広島高裁は中電の主張を認め「漁民は有効な漁業補償契約に拘束され、予定地での自由な操業はできない」と認定。 「操業の自由」を根拠に、周辺海域での抗議行動を続けてきた反対派漁民に対し、今後中電は、裁判に訴えるなどの対抗策も打ち出せる。 しかし、用地取得を巡る二つの裁判が決着しないため、予定地内の係争地については詳細調査ができない現状が続く。 一つは中電が社有地と交換取得した地元住民の共有地(約9500平方メートル)で、反対派が入会権確認などを求め、最高裁に上告中。 もう一つは、中電が地元神社から買収した山林(神社地、約10万平方メートル)で、同様に反対派が入会権確認などを求め1審で争っている。 事情をよく知る原発推進派の町民男性は「裁判の遅れが一番の気がかり」と指摘する。 〔山口版〕 6月17日朝刊