7日朝に県内へ最接近した`9|は、佐久地域を中心とする各地に大きなつめ跡を残し、東北地方へと北上した。 県内の人的被害は死者1人、軽傷1人。 大雨に伴う住宅の床上・床下浸水は47棟に上り、倒木や停電により交通網やライフラインもまひした。 また、収穫直前の農作物にも大きな被害が出た。 【川崎桂吾、大平明日香、藤原明博】 ◆記録的な大雨 長野地方気象台によると、5日午前0時の降り始めから7日午前までの雨量は、軽井沢396ミリ▽北相木370ミリ▽佐久市中込220ミリ▽茅野市白樺湖181ミリ▽東御157ミリ▽伊那市杉島170ミリ。 このうち軽井沢の平年の年間降水量は約1200ミリ。 わずか2日間で年間降水量の3分の1に相当する雨が降った計算だ。 また同所では6日午後10時20分ごろ、観測史上2番目となる最大瞬間風速27・7メートルの強風を記録した。 ◆人的・住宅被害 6日午後11時ごろ、軽井沢町長倉で近くの無職、柳澤常男さん(76)が倒木の下敷きになり死亡。 同午後11時50分ごろには岡谷市川岸上で、近くの主婦(34)が足を滑らせて5メートル下の川に転落。 頭に軽傷を負った。 住宅の被害は佐久地域に集中した。 佐久市香坂東地では土砂崩落で住宅1棟が全壊。 家人は逃げて無事だった。 また同市内では5件の床上浸水が発生。 床下浸水は4市2町で44棟に上った。 土砂崩れや洪水の危険から、佐久市平賀荒家地区、御代田町、東御市島川原地区の3市町で19世帯を対象に避難勧告が出された。 軽井沢町など5市町では、265人が近くの公民館などに自主避難した。 ◆農業被害 県によると農作物への被害は計2億1765万円で、ビニールハウスなどの施設被害は計141万円。 最も被害が大きかったのは軽井沢町で8554万円。 特にレタスやキャベツなどが大きな被害を受けた。 長野市吉のリンゴ農園では、強風にあおられ収穫直前のリンゴが落下。 同市内の千曲川河川敷では長芋畑が水につかった。 ◆生活・交通機関 中部電力によると、7日午後3時時点で軽井沢町や御代田町などで1万6620戸で停電が続いている。 地域によっては復旧に時間がかかる見込みという。 停電に伴い、佐久市や小諸市では1000戸以上が断水した。 7日の学校の休校は小中高45校に上った。 長野新幹線は7日始発から、軽井沢―佐久間で起きた倒木により一時運転を見合わせた。 同午前8時20分には運転を再開したものの、上下8本が運休。 5000人に影響が出た。 中央線、篠ノ井線、小海線、しなの鉄道も一時不通となったが、同日午後までに復旧した。 県警によると倒木や道路の陥没などで31カ所で交通障害が発生した。 ◇軽井沢で男性死亡−−倒木被害相次ぐ、小諸では園舎直撃 強風が吹き荒れた軽井沢町では各所で樹齢50~60年の樹木が次々と倒れた。 `9|による県内唯一の死者となった同町長倉の柳澤常男さん(76)も倒木の犠牲となった。 また、同町のいたるところでは道路わきの電線にかかり停電や電話不通を引き起こした。 7日は早朝から倒木の後片付けのクレーン車や、電力会社の作業車が出動、復旧に追われた。 別荘地のレストランでは敷地内のモミの巨木16本が根こそぎ倒れた。 経営者は「高さ30メートルもある木だが根は張らず風には弱い。 厨房も水浸しで営業もままならない」と困惑の表情。 小諸市では倒木による建物被害が発生。 同市加増の中央幼稚園で、隣接する墓地の直径約60センチのエノキが根元から折れて木造平屋の園舎を直撃、屋根を壊した。 また同市柏木、主婦、戸部とし子さん(65)方で、6日午後10時ごろから道路わきの立ち木が強風で倒れ、2階の屋根などを壊した。 倒木は10本以上におよび、周囲の計4戸で屋根をなどを壊したが、住人にけがはなかった。 千曲川支流の湯川、滑津川など佐久市の中小河川は、上流の豪雨で6日朝から増水が続き、7日未明には一部護岸が決壊するなど、床上浸水5件、床下33件、47世帯118人が公民館などに避難した。 【藤澤正和】9月8日朝刊