◇今月だけで1億円損害 今月7日に関東地方を直撃した`9|の影響で、東京湾最奥部の干潟「三番瀬」で深刻な漁業被害が出ている。 船橋市漁協組合(大野一敏組合長)によると、江戸川放水路から流出した土砂やごみにより、同漁協漁業権内のアサリの約8割が死滅。 アサリ漁は4月から12月まで行われるが、9月分だけで漁獲高は例年の約1割程度に落ち込み、約1億円の損失が見込まれるという。 国土交通省江戸川河川事務所(野田市)は7日午前、`9|の影響で江戸川の水位が基準値を上回ったため、江戸川放水路の行徳可動堰(ぜき)(市川市)を開放。 この結果、土砂やヘドロが東京湾に流れ出たほか、河川の淡水流入で塩分濃度が急激に低下し、多くのアサリが窒息死したとみられる。 同漁協の漁場約1000ヘクタールのほぼ全域で被害が出たという。 17日から漁を再開する予定だが、被害前の水準を回復するには、少なくとも1年はかかる見通し。 また、江戸川放水路から流出したごみは、船橋市の千葉港葛南港区にも大量に漂着。 県港湾課によると、葦(あし)や流木、ごみなどの漂流範囲は港内の約10ヘクタールに及び、8日から除去作業を続けている。 作業は20日ぐらいまで続く見込みで、費用は数千万円に達する可能性もあるという。 そのほか、同様のごみは、ラムサール条約に登録されている習志野市の谷津干潟にも流入。 同市自然保護課によると、漂流面積は、干潟全体の約2・5%に当たる約1ヘクタールに達している。 同漁協の大野組合長は「これは天災ではなく人災で、漁業者にとっては死活問題。 堰を開ければ三番瀬に大きな環境被害を与えることは分かっているのだから、普段から土砂やヘドロがたまらないような努力をしてほしい」と憤っている。 【袴田貴行】 9月14日朝刊