◇成長まざまざ、強さ本物 ◇粘り強く魂の投球、選手たちの頑張りに尽きる−−宮崎監督 ◇8強懸け、あす長野日大と対戦 第80回記念センバツ第6日の27日、北大津は2回戦で横浜(神奈川)と対戦。 優勝候補の呼び声も高かった強豪を相手に、思い切りのいい打撃と堅守で6―2と逆転勝ちした。 東北(宮城)戦に続く快勝に、三塁側アルプス席の応援団はナインとともに朗々と校歌を歌い、喜びをはじけさせた。 次は8強進出を懸け、大会第8日第2試合で長野日大(長野)と対戦する。 【金志尚、藤顕一郎】 ▽2回戦 横浜 000100010=2 00040101×=6 北大津 東北大会の覇者・東北(宮城)を破った実力は本物だった。 2時間8分の熱戦後、グラウンドに響く北大津の校歌。 甲子園で数々の記録を打ち立てた“横綱 に完勝すると、誰が予想できただろう。 三塁側アルプス席は、お祭り騒ぎになった。 初戦は本領発揮とはいかなかった打線が目覚めた。 1点を追う四回1死二塁、4番・石川駿主将(3年)のレフト線を破る二塁打で同点。 クラスメートの桐畑大地君は「やってくれると思っていた」。 2死後、初戦で決勝打を放ったヒーロー、橋本航樹三塁手(同)がまたも勝ち越しの右前適時打。 ジャンプして喜んだ母初枝さん(43)は「何と言ったらいいのか分からないくらい、うれしい!」。 勢いは止まらない。 2死一、三塁で河合勇志投手(同)も中堅の頭上を越える鋭い当たりを披露。 2人を還し、この回一気に4点加えた。 あっという間の逆転だ。 さらに、六回。 先頭の石川主将が「狙っていた」高めの直球を一振りすると、きれいな放物線を描いた打球は、左翼スタンドに飛び込むセンバツ通算600号本塁打になった。 父猛さん(48)は周囲にもみくちゃにされながら「最高の息子です」と感激。 1点を返された直後の八回にも龍田旬一郎右翼手(同)の本塁打が飛び出し、横浜を突き放した。 辻寿朗校長(55)は「歴史に残る日です」と笑顔を見せた。 各地区の優勝校が集まり宮崎裕也監督(46)が冗談めかして「チャンピオン・シリーズ」というブロック。 その中での2連勝。 次は北信越王者の長野日大(長野)。 北大津が「台風の目」になりつつある。 ◇バットよく振れた−−北大津・宮崎裕也監督 先制され、開き直って力を発揮できた。 バットがよく振れていたし、河合も粘り強く魂の投球をしてくれた。 今日は選手たちの頑張りに尽きる。 次も選手たちの成長した姿を見たい。 ◇河合投手に恩返し−−北大津・石川駿主将 六回の本塁打でやっとチームに貢献できた。 今までで一番うれしい。 いつも河合に助けられていたので、きょうは助けてやろうと思っていた。 これからも一戦必勝でやっていきたい。 ◇リズムに乗れず−−横浜・渡辺元智監督 リズムに乗れないうちの悪いところが出た。 土屋は丁寧に投げたが本来のスピードがなかった。 相手は1試合勝ち上がり伸び伸びプレーしていた。 点をやらない守備をしないと夏も勝ち進めない。 ◇油断から受け身に−−横浜・小川健太主将 気の緩み、油断があった。 勝てるという根拠のない自信が強すぎ、挑むよりも受け止めるような気持ちになっていた。 北大津の投手はなかなか狙い球を絞らせてくれず、捕手も素晴らしかった。 ■ダッシュ! ◇気力で定位置奪還へ−−高橋直也・一塁手(3年) 大きな声と、守備では体ごとボールに向かっていくような闘志あふれるプレー。 チームに気合を入れる存在だ。 24日のフリーバッティングで投球が左ひざを直撃し、腫れ上がった。 だが、顔をゆがめ、足を引きずりながらも練習を続ける。 周囲が「もう(グラウンドを)出ろ、出ろ」と言っても聞かない。 際どい打球にダイビングキャッチを試み、最後まで練習をやりきった。 無理をしたら試合に響きそうな時期に、なぜか。 答えは「(休むと)レギュラーを取られるので」と、きっぱり。 その負けん気の強さに、宮崎監督も一目置く。 昨夏の滋賀大会では2年生で5番を務めた。 その後、不調に陥り、秋季大会などでは7番に「降格」。 居残り練習などのかいあって最近ようやく「バットが振れてきた」と復調を感じていたが、センバツ初戦の東北戦では2打数無安打、犠打も失敗。 七回には代打を送られた。 先発メンバーを外れたこの日は六回表に守備で登場し、その裏の打席で四球を選んだ。 生還はできなかったが、好投手相手でも選球眼に自信を持てた。 「次は最初から出たい。 そのために練習からアピールする」。 勝利を喜びつつ、視線はもう次の試合へ。 定位置を奪還し、今度こそしっかりと勝利に貢献するつもりだ。 【金志尚】 3月28日朝刊