◇有明町の鹿児島堀口製茶 志布志市有明町の鹿児島堀口製茶(堀口泰久社長)が、茶葉を食い荒らす害虫を高圧噴射の風と水で駆除する農機「ハリケーン・キング」を開発した。 昨年9月末から直営農園で稼働し、新茶のカンザワハダニ防除の実証に成功した。 2番茶以降の5~10月に発生するクワシロカイガラムシなどの害虫駆除にも応用する計画だ。 堀口社長(59)は「年間を通じた完全無農薬栽培を目指したい」と意気込んでいる。 【新開良一】 開発の発端は「台風直後にハダニがいなくなるのはなぜ」との疑問。 堀口社長は「茶畑で人工的に台風を再現すればいい」とひらめき、製茶機械メーカーと3年がかりで共同開発。 04年、高圧の水と風を茶葉に吹き付ける1号機「スコール・モンスター」が出来上がった。 だが、その後の実証研究で害虫は水圧よりも風圧の効果がより高いことが判明。 別の農機具メーカーとも共同開発を進め、改良型の2号機「ハリケーン・キング」が誕生した。 いずれも台風並みの秒速で高圧の風水圧をかけ、葉や茶樹に付いた害虫を駆除する。 同時に害虫を捕食する肉食性のダニ類(ハダニの天敵)もダメージを受けるが、天敵は茶樹の幹内部や周辺の植物にいるため農薬よりも影響を受けにくいという。 「新茶」と呼ばれるのは毎年4月中旬から5月中旬までに摘み取る1番茶。 栽培は前年秋口から始まり、通常栽培ではハダニ発生を抑える農薬を3~4回散布する。 ハリケーン・キングによる効果を実証する実験は、県曽於畑地かんがい農業推進センターと共同で昨年12月から今年3月にかけて行われた。 同機で駆除した茶畑と農薬を使う通常栽培の茶畑のハダニの生息密度を調べた結果、「ほぼ同じ」というデータが得られたという。 この結果に同センターの柿元一樹・技術主査(32)は「ハリケーンによる駆除は土着の天敵に及ぼす影響がきわめて小さく、風水による直接的なハダニ抑制効果と天敵保護の副次効果で持続的な駆除が期待できる」と話している。 堀口社長は実験と並行し、直営農場約100ヘクタールでハリケーン・キングによる駆除を実用化。 今春、待望の「秋から無薬育ち」の1番茶の販売にこぎつけた。 「土着天敵を利用した自然循環型の駆除方法を実証したことの意義は大きい。 安心で安全な茶作りにさらに取り組み、2番茶や3番茶にも応用可能な駆除技術を確立していきたい」と研究に余念がない。 5月22日朝刊