61校が熱戦を繰り広げた第90回全国高校野球選手権長崎大会は、清峰が2年ぶり3回目の甲子園出場を決めて幕を閉じた。 連日、熱戦が展開された今大会。 印象に残るさまざまな試合や選手たちの言葉があった。 このうち、快進撃を続けた北松西は島の子たちのさわやかなプレーが観客の胸を打った。 敗れて号泣しながらも、多くの選手たちが「感謝」の言葉を口にした姿も忘れられない。 担当記者が振り返った。 【近松仁太郎、蒲原明佳】 ◇敗れても「感謝の言葉」 台風の目となった五島・小値賀町の北松西は離島勢で唯一、2回戦を突破。 3回戦ではシード校でnhk杯ベスト4の長崎西を5対1で破り、創部31年目の夏で初のベスト8進出を果たした。 準々決勝の清峰戦の応援に駆け付けた島民は約400人。 そろいの青いtシャツの胸に書かれた「一島入魂」の文字が観客席で踊った。 無念のコールド負けでベスト4進出の夢はかなわなかったが、北松西の博多屋雄一郎監督はこう話した。 「島民あげた応援が力をくれた。 チームワークが良く、野球が大好きだった選手たちが自分たちの力を最大限発揮してくれた」 北松西は部員全員が小値賀中出身。 今回の躍進について、清峰の吉田洸二監督は「島の子供たちだけで勝ち上がってきたのはすごい」と評した。 一方、試合に負けた選手たちの口から「悔しさ」よりも「ありがとう」の言葉が先に出ることが最初は意外だった。 西海学園(佐世保市)の近藤大志選手は、平戸市から親元を離れて寮生活をし、野球を続けてきた。 3回戦で瓊浦に敗れた後、「自分が走ったり、守ったりするのを見て親が喜んでくれる。 それが幸せだった」と言葉に力を込めた。 長崎南山の松村勇二投手は、鎮西学院との3回戦で二回に6点を奪われたが、最後まで逆転できると信じた。 「自分の調子が悪くても、いつも仲間の守備に支えられた。 だから打席では、一球を大事に大事に打ちたかった」 長崎西・清水翔太主将は開会式の宣誓で「僕たちは、自分たちだけで野球をしているのではありません」と言った。 この言葉の意味を取材を重ねる度にひしひしと感じた大会だった。 〔長崎版〕 7月22日朝刊