◇現場へ短時間可能に 台風や豪雨などの天災や登山者の遭難、通り魔事件の発生時に重要となるのが警察や消防の初動活動だ。 先月には栃木県鹿沼市で、女性(45)の軽自動車が豪雨に見舞われ、本人や目撃者の通報にもかかわらず出動が遅れて女性が死亡する事故が起きた。 道警では初動活動の重要性を認識し、帯広にヘリコプターを常駐させたり、携帯電話の110番通報者の位置を特定できるシステムの導入などを進めている。 【木村光則】 ■帯広にヘリ常駐 道警ではこれまで、5機のヘリコプターを札幌市の丘珠空港に配備していたが、今年4月から「とかち帯広空港」(帯広市)に、「だいせつ1号」1機を常駐させた。 大雪山や日高山での遭難救助活動や道東地方での事件・事故発生時の長い運航距離が、障害になっていたからだ。 効果は既に表れている。 7月20日に日高山系札内岳で行方不明となった札幌市の男性(52)を自衛隊のヘリとともに捜索。 同24日に札内岳南側の沢で「だいせつ1号」が男性を発見し、救助した。 「だいせつ1号」は7月末までに登山者など行方不明者の捜索で計17回、緊急配備で計3回出動。 11日午前に十勝沖で発生した地震でも他の道警ヘリ2機とともに出動し、被害状況の確認などのため、道東の海岸線や内陸地の上空を巡回した。 道警通信指令課は「釧路や北見方面で緊急配備がかかった場合、今まで以上に短時間で現場に行ける」と話す。 ■新システム導入 携帯電話から110番通報があった場合、道警の通信指令室のモニターに通報者の位置が表示されるシステムも導入が進む。 昨年4月には網走市などを管轄する北見方面本部で、今年4月からは札幌市などの道央地区や道南の函館方面本部でそれぞれ導入された。 通報者が、自分の居場所を分からない時や場所を説明する余裕がない切迫した状況下での効果が期待されており、現在は高速データ通信が可能な携帯電話が対象。 表示される位置の誤差はgps(全地球方位システム)機能付きの携帯電話で数メートル~数十メートル、gps機能がない場合は数十メートルから10キロの幅がある。 昨年6月には網走署管内で女性が自殺を図っているとの通報から、システムで現場を割り出し駆けつけて保護したケースも。 通信指令課では「追い詰められた状態で通報がすぐに切れても、発信地が表示されればすぐに駆けつけられる」。 ■不急通報が障害 問題となるのが、後を絶たない不要不急の110番通報だ。 今年7月末までに道警に寄せられた110番通報計20万6714件のうち、約28%にあたる約5万7860件が問い合わせや苦情、要望など緊急性のない通報だったという。 道警では、関係先の署や機動捜査隊、自動車警ら隊などに出動を指令するほか、消防や海上保安庁など関係機関とも、直ちに情報を共有するシステムを構築しているが、不要不急の通報が重なると新たな通報がつながらなくなったり、情報の精査が困難になる事態が予測されるからだ。 特に台風や豪雨などの天災発生時には、通信指令室の状況が一変。 短時間のうちに数千件の通報が寄せられるケースもあるという。 通信指令課は「訓練を徹底的に重ね、情報処理の技術を強化しなくてはならないが、急を要さない場合は道警の相談窓口などに電話してほしい」と呼び掛けている。 9月12日朝刊