□兵庫県明石市立衣川中学校 ■非常時に地域支える力養う 阪神大震災から来年1月でまる14年。 震災を知らない子供たちが増えるなか、兵庫県明石市の市立衣川中学では、地元の大学、市と連携し、災害時に少しでも被害を少なくするための「減災教育」が行われている。 ゲームや演劇を使った授業には地域の住民も参加。 生徒たちの防災に対する意識を高めるだけでなく、普段あまり触れ合うことのない大人と交流することで、コミュニケーション能力も育てようという試みだ。 (神戸総局 塩塚夢) 地域の防災教育に取り組んでいる兵庫県立大看護学部が中心となって授業の構成を考え、衣川中や明石市の協力を得て昨年初めて実施した。 2回目の実施となる今年は、3年生の総合学習のテーマの一つに「わが街の減災」を設定し、このコースを選択した36人が10月から3カ月間、計12回にわたって学ぶ。 同大の片山貴文准教授(42)は「平日の日中に災害が起こった場合、親の世代は会社などで地元の外に出てしまっている。 中学生は常に校区内にいるし、また体力もある。 地域の担い手としての役割が大きい。 率先してリーダーシップをとれるようになってほしい」と話す。 同中は阪神大震災時、3カ月の間、避難所として使われた。 また平成16年には、`23|の影響で付近の川が増水し、避難勧告が出されるなど、生徒にとっても防災は身近なテーマだ。 担当の奥野美子教諭は「今年はすでに2回の授業を終えたが、まだまだ意識が足りないと感じる。 生徒たちは震災の怖さを知らない世代。 普段は忘れてしまいがちなだけに、この機会を通じてしっかりと学んでほしい」と話す。 生徒らはまず、同大のホームページで公開されている「災害備え度チェック」を受講。 「居住地域の地盤を知っているか」「家族間で非常時の連絡方法を決めているか」など災害の備えに関する計47項目をチェックする。 事前学習を終えた後は、街を歩いて避難経路を見つける防災マップの作成や、体育館に避難所を再現して「車いすに乗った人がいたら」「救援物資が足りなかったら」などの問題を話し合う「避難所体験」などを通じ、防災について考えていく。 さらに、昨年度の授業を受けた生徒たちから「災害が起こったら近所の人との助け合いが必要だと思った」などの意見が寄せられたことから、今年はコミュニケーション能力を育てることを重視。 新たに「自治会長ゲーム」と名付けた学習を加えた。 このゲームは、自分が自治会長になったつもりで、「赤ん坊の世話をしたことがある」「消火訓練に参加したことがある」「人命救助技術を持っている」など災害時に役立つ能力をもつ人を、会話しながら探すというもの。 ゲームには地域の住民も参加する。 奥野教諭は「小さい家族のなかに閉じこもり『自分さえよかったら』となりがち。 普段触れ合うことのない人と交流できるのは大きな経験になる」と期待を寄せる。 大北兼光校長も「災害に強い街をつくるとともに、高齢者や幼い子供への思いやりの心を養ってほしい」と話した。