◇砂防ダム、花こう岩せき止め−−北杜・神宮川 北杜市白州町を流れる「神宮川」は明治神宮(東京都渋谷区)にちなんで名付けられた。 ここで毎夏、地域住民が集める白く輝く玉砂利は、1920(大正9)年の建立以来、明治神宮に奉納されてきた。 しかし、砂防ダムが建設されて以来、年々減少しているという。 現場を歩いた。 【沢田勇】 国道20号からサントリー天然水白州工場脇の道を上ると左手に神宮川が見えてくる。 しかし、玉砂利に使われる直径4センチ程度の丸い石は見あたらず、目に入るのは大きな岩と砂ばかりだ。 流域の地質は白い花こう岩で形成され、上流には奇岩で知られる日向山(1660メートル)の雁ケ原もある。 風雨にさらされた花こう岩の塊が川に落ち、流れるうちに砕けて角が取れて玉砂利となる。 これが明治神宮の拝殿前にある「中庭(ちゅうてい)」に敷き詰められる。 72年に住民の要望で川の名前は「濁(にごり)川」から神宮川に改称された。 30年ほど前までは釜無川との合流地点近くで採取されていたが、昨年は約3キロさかのぼった山間部の砂防ダムの下。 5年ほど前から手作業では間に合わず、ショベルカーも投入されている。 これより上流は重機やバスが入れないという。 昨年の採取場を過ぎると積雪が多くなり、車を降りて歩いた。 雪上には無数のシカの足跡。 猟銃を持ったハンターが突然現れ、ひやりとする。 やがて、高さ15メートルほどの砂防ダムにたどり着いた。 ダムの内側は大きな岩と砂でいっぱいだった。 国土交通省富士川砂防事務所(甲府市)によると、59年の`7|と`195915|の影響で土石流が発生し、釜無川流域で計27人が命を落とした。 そこで、県が59年度に緊急事業としてこの砂防ダムを建設。 その後、国も8基を建設した。 砂防ダムは川を流れる土砂を堆積(たいせき)させ、土石流を防ぐが、玉砂利のもとになる大きな花こう岩もせき止める。 同事務所は「砂防ダムは防災のために不可欠。 玉砂利が完全になくなることはなく、理解してほしい」と話す。 北杜市白州総合支所地域振興課の野本信仁さん(48)は「ボランティアの方が『玉砂利が少なくなったね』と言いながら協力してくれています。 奉納は続けたい」と話した。 ◇ ◇ 異変が起きているのは神宮川だけではない。 三重県伊勢市の伊勢神宮では、20年に一度、地元住民による奉献団が、市内の宮川で「お白石(しらいし)」と呼ばれるこぶし大の白い石を採取し、奉献する。 「お白石持ち」という行事だ。 子供のころからお白石持ちに参加し、07~08年に同市下野町の奉献団長を務めた仲林勝治さん(66)によると、57年と67年に宮川に相次いで2カ所のダムが建設されて以降、お白石が減ったという。 2月16日朝刊