◇田畑減り、進む荒廃−−農家ニーズに支援なく 南北約14キロ、外周約44キロ、総面積約1260ヘクタールに及ぶ大規模緑地帯、見沼田んぼ。 その約95%はさいたま市内だ。 荒川の支流、芝川の流れ込む沼地だったが、1728年に干拓され、07年現在も520・4ヘクタール以上が田畑として使われている。 だが市の調査(07年度)によると、田畑は97年度よりも約100ヘクタール減少し、荒れ地は約8・5ヘクタール増えていた。 元さいたま農協会長の内田貞治さん(79)は「荒れ果てる前に市に手を打ってほしい。 市は農家の思いをわかってくれないし、やる気もない」と話す。 ◇ 市が07年度、見沼田んぼの土地所有者に聞いたイメージがある。 1位は「自然」(16・6%)だが、2位は「不法投棄」(12・4%)。 6位「(車の)抜け道」(8・3%)、8位「荒れ地」(6・3%)と、否定的な回答が少なくなかった。 宅地化が徐々に進んでいた1958年、全国で死者・行方不明者1200人以上を数えた`195822|があり、下流域への浸水を食い止める田んぼの遊水機能が注目されるようになった。 県は見沼田んぼの宅地化を原則認めない方針を決定。 95年、農家の所得減や後継者不足といった現状を受け、新たに「農地・公園・緑地などとして土地利用を図る」との基本方針を作ったが、ほとんど農家の自助努力に任せ切りだった。 土地所有者へのアンケートでは、「今後も農業を続けたいか」という問いに「やめたい」27・1%、「続けたい」26・0%と拮抗(きっこう)する。 内田さんは「10アールで米を作っても、年10万円弱にしかならず、機械代や農薬代で完全に赤字。 土地も高くは売れず、放置するしかない」と解説する。 ◇ 市は01年9月、内田さんや埼玉大の窪田陽一教授(景観論)らを招いて「見沼グリーンプロジェクト研究会」を発足させた。 研究会は03年3月に公園整備や緑地保全など46項目を市に求める提言書を出したが、完全に実施されたのは10項目もない。 市みどり推進課は「研究会は市長の諮問機関だったが、提言を具体化する部署がなかった」と釈明するが、窪田教授は「市職員の知識や経験も足りず、農家のニーズも把握しきれていない。 政令市なのにリーダーシップが足りない」と厳しい。 「見沼田んぼに大規模な農産物直売所を作るのが夢」と話す内田さん。 「世代が代われば、ますます農業に取り組む人が減る。 今が最後のチャンス」と危機感を募らせる。 5月6日朝刊 【関連ニュース】