9日夜から10日朝にかけて県西部などを襲った記録的な豪雨で、各地で河川がはんらん。 避難途中の住民が巻き込まれるなどして午後6時現在、県災害対策課のまとめで死者12人、行方不明者16人、重軽傷者3人の大きな被害が出た。 家屋も約500戸で床上、約800戸で床下浸水したほか、断水や停電、道路通行止めやjr姫新線・播但線で運休が相次ぎ、市民生活にも大きな影響が出た。 被災市町には、災害救助法と被災者生活再建支援法が適用され、復旧作業が本格化するが、被災地では人々が避難所などで不安な夜を過ごした。 【`9|取材班】 ◇最大被害地・佐用町 豪雨の中、10日午前0時過ぎ、佐用町に入った。 千種川に掛かる国道373号の橋は水位が上昇し、今にも激流に飲まれようとしていた。 避難所の町立三日月小、町立中安小では、それぞれ約10人が車座で窓の外を心配そうに見つめていた。 町内は避難中に身動きが取れなくなった車で大渋滞。 通過した橋はその後、完全に流れに飲み込まれ、コンビニ店の駐車場では、車がエンジンをかけたまま一夜を明かした。 日が昇るとともに次第に被害の大きさが判明。 道路のあちこちに大きな石や材木が散乱し、2メートル近い高さまで水位が上がった町中心部では、流された車がひっくり返り、商店街のシャッターが破壊されていた。 ◇朝来市など 「家族は手を差し出したが、後少しのところでつかめなかった」。 朝来市立野の電器店経営、井田彊さん(65)が避難途中で流され亡くなった現場で、兄嫁の井田ひさ子さん(70)は肩を落とした。 井田さんは午前1時ごろ、家族ら6人と車で家を出た。 50センチ以上浸水した個所もあり、全員が車を降り歩いて移動。 川のように茶色い水が激しく流れていた道路で、避難用に張ったロープ伝いに家族を先に渡し、井田さんが最後に渡り始めたところで足をとられたという。 また、10日早朝、豊岡市城崎町楽々浦の円山川で、河川工事用交通船「第三蒲生丸」(4・9トン)が転覆、3人が川に投げ出された。 2人は自力で岸に泳ぎ着いたが、操船していた香美町香住区若松、建設会社員、田中惣一さん(56)が流されて行方不明になった。 県警と香住海上保安署などが捜索している。 ◇宍粟市 揖保川の水位上昇で宍粟市では9日夜に4800世帯約1万6000人に避難勧告。 10日午後6時現在で約600世帯1900人に避難勧告が続いている。 また、床上・床下浸水は計281世帯にのぼった。 揖保川の支流・福知川では3カ所で橋が流され、同市一宮町福知の集落が孤立。 保養センターなどの宿泊客34人を含む105人が取り残され自衛隊などが出動。 ヘリコプターが飲料水を運ぶとともに要救助者を救出。 10日午後6時現在、住民や宿泊施設の観光客ら26人が取り残されている。 ◇県災対本部 今回の台風被害の死者・行方不明者の多くは避難所に向かう途中、増水した川などに流されるなどしていた。 会見した井戸敏三知事は「今までは避難所に行くのが原則だったが、今回のような(急激な出水の)場合は自宅待機も考えるべきでは」と述べ、今後検証する考えを示した。 中国道は午後5時半になって通行規制解除。 知事は「雨も落ち着いているのに解除しないとはどういう管理をしているのか。 ほかの地域にも迷惑をかけているという認識に欠けている」と批判した。 県の10日午後6時時点のまとめでは、避難しているのは▽佐用町739人▽宍粟市1590人▽朝来市140人。 避難勧告も佐用町や朝来市などで解除され、残るは宍粟市の600世帯となった。 道路の被害状況は、宍粟市一宮町島田の国道29号の土砂崩れなど、通行止めが42カ所となった。 〔神戸版〕 8月11日朝刊 【関連ニュース】