「通りが川になった」−−。 9日夜から10日未明に県内北部を中心に襲った大豪雨。 美作市では、土砂崩れによる家屋倒壊で無職、阿部美智子さん(68)が死亡するなど被害が相次いだ。 同市では先月19日の竜巻に続き、大きなつめ跡が残った。 【美作豪雨取材班】 ◆田原地区◆ 9日夜に山の斜面の一部が崩れ落ち、阿部さん方と上田修さん(74)方の2棟が倒壊、4人が死傷した田原地区では、10日早朝から倒壊家屋の撤去作業が始まった。 上田さんの救助に居合わせた近所の会社員、安東一幸さん(47)によると、消防のレスキュー隊員が「おじさんいるんか」と呼びかけ、「おーい、ここじゃ」と返ってきた。 隊員が屋根にチェーンソーで穴を開けて3人がかりで上田さんを外に出した。 一方、亡くなった阿部さんの親族の男性(40)は「(美智子さんには)隣同士ということもあってかわいがってもらった。 元気だったのに……」と話す。 9日夜に阿部さん方の西隣に住む母から連絡を受け、駆けつけた。 普段は車で15分程度で着くが、冠水などで道路が封鎖され、雨の中を2時間かけて現場まで歩いたという。 「災害でこの集落は孤立した。 孤立を防ぐ道の確保を検討してほしい」と淡々と話した。 ◆江見地区◆ 田原地区の現場から西に約2キロ。 旧県立江見商業高近くの商店街では、近くの山家川からあふれた濁流が襲った。 土産物を扱う「小町産業」では、1階倉庫でお盆用に保管していたせんべいやまんじゅうなどの商品が流された。 同社に勤める江見敏明さん(61)は「1階倉庫のシャッターが水圧で外れた。 高さ1メートル以上の水が流れていた。 商売の損害は大きい」と肩を落とす。 材木を扱う「島木材」では、1階の白い壁が茶色に染まった。 役員の島幹代さん(50)は「道路が川のようになり自動車や材木の束が流された」と疲れた様子で話した。 ◆被害状況◆ 県が10日にまとめた県内の豪雨被害状況によると、美作市田原の土砂崩れで2棟が全壊し、4人が死傷したほか、289棟が床上浸水、271棟が床下浸水した。 また、同市林野で計224世帯476人に一時避難勧告が発令され、4世帯11人と湯郷温泉宿泊客29人の計40人が公民館と保育園に避難した。 また、同市湯郷など5地区の計324世帯873人が近くの小学校などに自主避難した。 ライフライン関係では、同市の旧美作町で約350戸、旧作東町で約1500戸が断水し、自衛隊や岡山市などの給水車13台が給水活動を行った。 水道の復旧の見通しはまだたってない。 道路は10日午後2時現在、美作市竹田の国道179号など県内35カ所で土砂崩れや冠水などにより全面通行禁止などの通行規制を行った。 ◆観測史上最大◆ 岡山地方気象台によると、県内では、美作市今岡で10日午前1時までの24時間雨量が観測史上最大の232ミリを記録したほか、9~10日の24時間雨量で岡山市(100・5ミリ)、奈義町(207・5ミリ)、赤磐市(165ミリ)、津山市(117ミリ)の4地点が8月観測史上最大を記録した。 気象台によると、今回の豪雨をもたらした`9|が中国地方から東に離れた後も、`8|が熱帯低気圧に変わって西から中国地方に近づく可能性が高く、「14日までは雨が降るところが多い」としている。 このため、「地盤が緩み、多少の雨でも土砂崩れが起こる可能性はあるので注意を」と呼びかけている。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇県内の被害◇ 床上浸水 289棟 床下浸水 271棟 家屋倒壊 2棟 道路冠水 8カ所 断水 1850戸 (県調べ) 8月11日朝刊 【関連ニュース】