土石流による多数の死者を出した小林村から下流の楠梓仙渓で倒壊した橋=台湾高雄県甲仙郷で2009年8月14日、大谷麻由美撮影 【甲仙郷(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾中南部を襲った`8|の被害は、土石流の発生から1週間近くとなる14日、死者500人を超える見通しとなった。 軍は「救援活動の遅れ」との批判に、山間部という厳しい地形、道路や橋の寸断、川の増水など初動の難しさを説明する。 取り残された被災者の救助活動はここ数日、急ピッチで進められているものの、現地の災害対策本部では救出を待つ家族らが前日に増してごった返している状態だ。 跡形も無くなった3本の橋、勢いの衰えない茶色の濁流。 土石流による生き埋めで約380人の生存が絶望視される高雄県甲仙郷小林村から7キロほど下流にある甲仙郷市区の楠梓仙渓。 復旧作業が続くが、寸断された道路や橋の完全復旧にはかなりの時間がかかりそうだ。 地元の村民の話では、今になって上流の小林村や同県那瑪夏郷から遺体が流れ着いているという。 一方、高雄県災害対策本部が置かれた旗山中学校のグラウンドでは、14日も早朝から、約50キロ離れた被災地の村民を運ぶ救援ヘリコプターが発着を繰り返した。 プロペラ音が遠くから響き始めると、集まった500人を超える家族らが校舎のベランダから空を見上げる。 グラウンドの草と実の茂ったヤシの木々を大きく揺らしてヘリが着陸。 家族らはヘリから降りてくる被災者を一刻も早く確認しようと駆け出そうとするが、警官が笛を吹いて制止する。 もう何百回も繰り返されてきた光景に、同県桃源郷に残された家族を待つ江育欣さん(18)は「とにかく救助が遅すぎる」と、ため息をついた。 また、被災した親族を待ち続けている洪栄彰さん(58)は、「きょうは過密に救援ヘリコプターの往来がある。 なぜもっと早くこういう態勢がとれなかったのか」と不満を漏らした。 一方、土石流の発生以来、「毎日来て、待っている」と話していた白春桃さん(46)一家は14日、姿を見せなかった。 一部の家族の間では、あきらめの感も漂う。 台湾軍は13日までに救援ヘリを延べ363機飛ばし、被災者1254人を救助したと成果を強調した。 しかし、災害の発生当初から、軍の救援活動の遅れは指摘されてきた。 台湾で発生した10年前の大地震の際、発生2日目に軍人約1万5000人が投入されたのに対して、今回はわずか1946人だったという。 【関連ニュース】