`9|の影響で9日夜から西日本を襲った豪雨は、幼い子どもを持つ家族をのみ込んだ。 死を覚悟しながら、最後まで家族の絆(きずな)を信じた親の姿が、周囲の証言で、明らかになってきた。 家族4人で避難中に死亡した兵庫県佐用町本郷の会社員井上利則さん(40)一家。 井上さんと長男の小学1年、唯人(ゆいと)君(7)は、10日、自宅から南東約6キロの同町円光寺の田んぼで、寄り添うようにして見つかった。 「お父さんの腕と子どもさんの腰は、ロープできつく結ばれていたんですよ」 井上さんの弟、英二さん(36)は、遺体と対面した際、担当警察官からそう聞かされたという。 英二さんは「たとえ流されたとしても、子どもと絶対離れないように工夫したに違いない」と唇をかんだ。 井上さんは、岡山県のゴルフ場の支配人。 早朝から深夜まで働く毎日だったが、休日は妻子を連れ、遊園地やお祭りなどに出かけた。 「いつも寝顔しか見てやれんから、休みの日はしっかりと遊んでやるんや」 井上さんは英二さんに対し、そう話していた。 井上さんの妻、さなえさん(32)は11日に発見された。 その前日には長女の保育園児、優里(ゆうり)ちゃん(4)も近くで見つかった。 激流の中、身を寄せ合っていたとみられる。 2人の子の顔には、かすり傷もほとんどなかったという。 さなえさんが持ち出した黒いバッグが遺品となった。 中には、唯人君と優里ちゃんの着替えの服が詰まっていた。