■「いつもの味」で元気を `9|による豪雨で被災した兵庫県佐用町で、ご当地名物・ホルモン焼きうどんの“特製麺 を製造販売している平谷製麺所が9日、営業再開した。 店は床上約150センチまで浸水。 製麺機は壊れ、冷蔵庫も泥まみれになったが、再開を待ち望む卸先や固定客が復旧に協力し、被災から1カ月となるこの日朝、町内のなじみの卸先に被災前と変わらぬ麺を届けた。 昭和23年創業の老舗。 3年前に2代目の平谷順三さんが亡くなった後は、妻の知佐衣さん(69)と長女の知美さん(45)、三女の辻典子さん(36)=同県姫路市=ら女性4人が切り盛りしている。 ホルモンのうまみをよく吸収するのが特徴で、町内の「ホルモン焼きうどん」店約10店のうち8店が仕入れている。 実は、先代の順三さんの死が突然だったため「十分にレシピが聞けなかった」(知美さん)というが、順三さんが残した塩や水、粉を計量する瓶(かめ)が「分量を教えてくれ、品質を守れた」という。 泥水が店内に流れ込んだとき、心配したのも、この瓶が無事かどうかだった。 水害では、住居に使用している2階も被災し途方に暮れたが、幸い瓶は無事だった。 再開を望む卸先や固定客の声を受け、店の復旧を優先。 同じように被災した仲間も再開に力を貸してくれた。 町内の「ホルモン焼きうどん」店は、先月20日ごろから順次、営業を再開。 さしあたっては市販のうどんを代用していたというが「いつもの味」は出せていなかったという。 典子さんは「いろいろなことがあり過ぎて、あの強烈な記憶が薄れるほど怒濤(どとう)のように過ぎた1カ月だった」というが、製麺所の再開に「何より、地元の人たちの温かさを再認識させてもらった」と喜びをかみしめた。 被災の約1週間後に40~50玉のホルモン焼きうどんを商店街などに配った「一力」の経営者、田原愛子さん(66)も、この日1カ月ぶりにいつもの麺を購入。 「地元の味を大切にしていきたい」と笑顔をみせた。