◇尼崎市「管理の県が全額を」/県「市の閘門要望で多額に」…現在は県と市が折半 尼崎港の出入り口で港を高潮から守っている「尼崎閘門(こうもん)」(愛称・尼ロック)の維持管理費を巡り、県と尼崎市の間で議論が起こっている。 閘門の管理責任者は県だが、維持管理費の半分を負担している尼崎市が見直しを求めているのだ。 年間約9000万円の負担は市にとって重いが、県は「尼崎市は受益者の立場」と譲る気配はない。 【大沢瑞季】 尼崎閘門は、1950年のジェーン台風で同市内が壊滅的な被害を受けたことをきっかけに県が建設したもので、54年に完成した。 管理者は県だが、維持管理費は県と市とで折半してきた。 昨年度の維持管理費は約1億8500万円。 このうち市が約9250万円を負担した。 維持管理費のほとんどが人件費だ。 市は以前から、負担金の見直しを要望し続けてきた。 市町村負担金は、地方分権議論の中でクローズアップされている国直轄事業負担金の、いわばミニ版。 国直轄事業負担金の見直しが進む中、和歌山県は「国に改革を求める以上、県も変えなければ」と市町村負担金を廃止する方針だ。 全国市長会も今年7月、「維持管理費は、管理主体である国や都道府県が全額負担すべき」として、市町村負担金の廃止を全国知事会に要望している。 閘門の管理費について、市の担当者は「あくまで管理者の県が費用を負担すべき。 市町村負担金の廃止は時代の流れだ」と主張する。 だが県は、閘門建設当時の経緯にまでさかのぼって反論する。 実は建設当時、県は堤防を張り巡らす「輪中方式」を主張していた。 しかし市は、「それでは舟運を妨げ、経済活動に支障が出る」と閘門方式を主張、結局閘門方式に落ち着いた経緯があるというのだ。 閘門方式は、水門の開け閉めの管理などで維持管理費がかかる。 県は「維持管理費がかかることを承知で閘門方式を要望した市が負担するのは当然。 市民も受益している」と訴えており、議論は平行線のままだ。 ◇ 今月16日、県港湾課の職員が尼崎市役所を訪れた。 県は訪問の理由について「国に直轄事業負担金の詳細な説明を求めている以上、県もきちんと説明しないといけない」と説明した。 だが市は今後も県に対して、見直しを要望するという。 和歌山県だけでなく大阪府も「市町村負担金」の廃止を決めるなど、情勢は流動的。 今後の動向が注目される。 〔阪神版〕 9月23日朝刊 【関連ニュース】