◇土砂せき止める防災ダム/情報伝達システム化/行政無線も増設 全国で100人近い犠牲者・行方不明者を出し、京都府北部に大きなつめ跡を残した04年の「`23|」から20日で丸5年。 兵庫県佐用町などで多数の犠牲者を出した今年8月の`9|豪雨など、風水害は各地で頻発しているが再び23号の規模の風水害に襲われた時に備えは万全なのか。 「あの日」を踏まえた宮津市での取り組みを報告する。 【瓜生貴一】 `23|で土石流が発生し、全壊家屋が10戸と宮津市で最も被害が大きかった滝馬地区。 農業、柴野忠雄さん(76)は台風当日、土砂が大量に入り込んだ家屋から妻とともに抜け出し、近くの道に止めた軽トラックの中で一晩過ごした。 「家にいたら命が危ないと思った。 トラックが風で揺れて怖かったが他に避難方法はなかった」と振り返る。 市は近くの府立宮津高校を避難所に指定したが、それを知らせる防災行政無線は柴野さん方からは遠いうえ、音声は強風にかき消された。 「今では避難勧告が出たらすぐに避難することにしています」と語る。 この災害を受け、府は台風や大雨などによる土砂の流出をせき止める防災ダムを滝馬地区に整備し、一定の安全は保てるようになった。 一方で、約270戸ある同地区では自治会幹部らによる「滝馬自主防災組織」を06年に発足。 災害時には、自治会役員が下部組織の隣組長に連絡し、情報伝達。 民生委員と連携し、情報が届きにくい独り暮らしのお年寄りにも気を配るシステムを整えた。 先日、府北部に接近した`18|では、さらに自治会長が拡声器を持って地区内を回り、早めの対応を呼び掛けた。 `23|で滝馬地区の自宅が床下浸水した同市議の松浦登美義さん(51)も06年から2年間、自治会長として防災組織の活動に大きくかかわった。 松浦さんは「危険が及ぶ前に声を掛け合い、早めに動くことが大切」と指摘。 さらに、「この台風を機に防災に対する意識が高まり、地域のまとまりや団結力も以前より増して強くなった」と話す。 ◇ ◇ ◇ 一方、この台風で大手川下流などのはんらんにより、900戸以上の床上浸水、800戸以上の床下浸水の住宅被害が出た宮津市街地。 国の激甚災害特別対策緊急事業に指定されたこともあり、大手川は川幅を広くし、川底を深くする改修工事が進められている。 強風のため市の災害情報が聞こえにくいとされた防災行政無線も、市全体で当時の23基から今年度までに108基に増設され、ハード面は整いつつある。 しかし市の防災関係者を悩ませているのは、今年8月の兵庫県佐用町での`9|被害のように避難途中に川や水路などに人が流されるような事態が起こらないとも限らない点だ。 市消防防災係の中村善之係長(42)は「特に夜間の避難勧告の際、避難した方がいいのか家にいた方が安全なのか、判断が難しい。 避難所に向かわない場合、比較的頑丈であったり高さのある家屋に集まるなど、日ごろから地域で連絡を取り合ってほしい」と呼び掛けている。 10月20日朝刊 【関連ニュース】