緑の芝生が広がる地上から、金属製の階段を下ること数分。 突然現れたのは巨大な「地下神殿」だった。 春日部市の国道16号の地下50メートルを、直径約10メートルのトンネルが6・3キロも走っている。 「首都圏外郭放水路」。 国土交通省江戸川河川事務所が管理する防災施設で、豪雨や台風の際、周辺の川の水を取り込み江戸川へ流す。 「地下神殿」とはその終点、庄和排水機場(同市上金崎)につながる調圧水槽のことだ。 奥行き177メートル、幅78メートルの空間に高さ18メートルのコンクリート柱59本が整然と並ぶ。 01年の完成以来、「仮面ライダー」シリーズや「魔法戦隊マジレンジャー」など、数多くの「特撮ヒーローもの」の映画やドラマのロケに使われてきた。 昨年3月に「仮面ライダーディケイド」(テレビ朝日)の撮影をした東映テレビ・プロダクション第2制作部の東正信さん(49)は、「ライダーが敵と戦う場面は、現実離れしていないと子供を引きつけられない。 (調圧水槽は)波長の合う空間」と評価する。 さらに東京に近いこと、使用料が無料であることも大きな魅力だという。 ポンプなどを扱う管理棟の操作室は、ヒーローたちの「司令部」になることも。 「最近では、早見優さんがここで『総司令』を演じたんですよ」と放水路管理支所管理係長の鬼頭岳彦さん(34)。 ただ、施設の性格上、制約も多い。 撮影時間は午前8時半から午後5時まで。 大雨が降ればロケは即中止だ。 「火薬の使用や危険なアクションも禁止。 洪水防止と安全が最優先ですから。 施設のprにもなるので、できるだけご要望にはお応えしたいのですが」。 鬼頭さんは申し訳なさそうにそう話す。 雑誌や情報番組も含めた撮影・取材の問い合わせは年間約180件にもなる。 自治体などが積極的に誘致するケースとは違うが、その「機能美」ゆえに県内屈指の人気ロケスポットとなっている。 【平野幸治】=おわり 1月10日朝刊 【関連ニュース】