民主党の小沢一郎幹事長は12日、高崎市のホテルで小寺弘之前知事と会談し、今夏の参院選比例代表に同党公認候補として立候補するよう要請した。 小寺氏は「群馬県のために、日本のためにお役に立つならば」と応じ、会談後、小沢氏とともに記者会見して、正式に立候補を表明した。 【奥山はるな】 会見で小沢氏は、知事を4期16年務めるなどした小寺氏の行政経験を評価したうえで「直接、県民の皆さんと意見交換し、人間関係をつくりあげてこられた」と説明。 「スタートしたばかりの民主党政権にとって、小寺さんが加わっていただくことは大変有意義なこと」と語った。 一方、小寺氏は「地方の声を国政に反映したい」と抱負を語り、民主からの立候補については「今の段階で民主党の政策が、一番私にオーバーラップしているところが大きい」と説明した。 また、民主党県連は同日、役員会を開き、参院選対策本部の設置を決定。 群馬選挙区と比例代表の選挙活動を一体的に行うことが目的で、本部長に中島政希会長代行が就任。 小寺氏を県連の特別顧問とすることも決めた。 ◇知事時代に八ッ場推進 会見で賛否表明せず 小寺氏は12日の記者会見で、鳩山内閣が八ッ場ダムの建設中止を表明していることについて、賛否を明らかにせず「検証すべきだ」と述べるにとどめた。 小寺氏は知事在任中、地元とダム建設の基本協定書を締結するなど、建設を推進してきた。 この日の会見では「(八ッ場ダム建設計画が浮上する要因となった1947年の)カスリーン台風の時代と今の時代では、森林の整備状況や水需要も変化している。 もう少し、皆さんにわかりやすいように検証すべきだ」としたうえで「地元の事情と国の政策との中間にたち、解決のために労を惜しまない」と述べたが、民主の建設中止方針との整合性が今後問われる。 この問題について、小沢氏は「そういう立場におられたからこそ、今後の、お互いのよりよい解決策を見いだすために適任ではないか」と述べ、小寺氏を擁護した。 一方、会談の会場となった高崎市のホテルには、小寺氏と「30年来の知り合い」という「八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」の萩原昭朗委員長も招かれた。 萩原委員長はダム建設推進派の住民を代表する立場だが、この日は小沢氏に対し「よろしく(ダム建設の)精査をお願いします」と述べるにとどめたという。 ◇自民基盤にくさび、選挙区は民自対決 「違和感」も 参院群馬選挙区は民主の富岡由紀夫県連会長と自民の中曽根弘文前外相の両現職が改選1議席を争う。 元々、小寺氏は91年の知事初当選時に中曽根氏系の自民県議らが擁立を主導した経緯があり、今回の比例擁立は、自民の支持基盤にくさびを打ち込む狙いもある。 この日、小沢、小寺両氏の会談場所となった高崎市のホテルには、高木政夫・前橋市長や県医師会の鶴谷嘉武会長、フレッセイの植木敏夫会長ら県内各界の有力者が顔を見せた。 民主県連幹部によると、会談後、小沢氏は各氏が集まった一室を訪れ、小寺氏の支援を要請したという。 小沢氏が存在感を見せつけた格好だ。 高木市長は小寺、小沢両氏の会見に同席し、「(小寺氏の考えは)私の思いにも近い。 歓迎している」と支援を表明。 ja全農ぐんま運営委員会の橋場正和副会長は記者団の取材に、個人的な意見として「群馬選挙区は中曽根氏、比例は小寺氏にする」と語った。 ただ、知事時代、自民の掲げる施策を推進する立場だった小寺氏が民主から立候補することには疑問の声もある。 小寺氏は会見で「政権交代の流れに乗ればいいという気持ちでは決してない」と述べたが、自民県連の南波和憲幹事長は毎日新聞の取材に「八ッ場ダムなど極めて自民らしい政策を推進してきた方が、民主から出馬するのは残念。 中曽根さんと対立的な立場になられるのも違和感を感じる」とコメントした。 1月13日朝刊 【関連ニュース】