◇「川の敵対物」「水需要減る」 県議会の八ッ場ダム対策特別委員会は22日、ダム建設の中止を唱える大熊孝・新潟大名誉教授と、水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之(てるゆき)・共同代表を参考人招致した。 同委の開催は4回目だが、ダム中止派の招致は初めて。 大熊名誉教授は「ダムは川にとって基本的に敵対物でしかない」と話し、嶋津共同代表は「首都圏の水需要はますます減少する」と八ッ場ダムの必要性を否定した。 【奥山はるな】 大熊名誉教授の専門は河川工学。 川を「地球における物質循環の重要な担い手であり、ゆっくりと時間をかけて地域文化をはぐくんできた存在」と位置づけ、ダムの存在意義を「土砂や流木、落ち葉をため込み、川の物質循環を遮断する敵対物だ」と主張した。 八ッ場ダムの治水効果にも疑問を投げ掛けた。 大災害をもたらしたカスリーン台風(1947年)と同規模の洪水が起きた場合、国の利根川治水計画(06年)では、伊勢崎市の八斗島(やったじま)地点で毎秒2万2000立方メートルの水が流れると試算しているが、これを「過大だ」と指摘。 戦争直後で山が荒れていた49年当時の国の計画でも毎秒約1万7000立方メートルしか想定しておらず、植林で保水機能が改善した現在では「異常に大きい洪水流量は出ない」と話した。 また現行計画で洪水調節するには10基以上のダム建設が必要なため「八ッ場ができれば下流が助かるわけではない。 越流しても破堤しない堤防を考えるべきだ」と主張した。 一方、嶋津共同代表は主に、首都圏の水需要から八ッ場ダム不要論を展開した。 水需要は節水機器の普及と人口減少により減り続け「1日当たり200万トンの余裕がある。 水余りが進んでいる」と指摘した。 ダム湖に堆積(たいせき)する土砂についても問題視した。 八ッ場ダムの場合、国土交通省は100年で1750万立方メートル堆積するという「一般式」による計算結果を開示しているが「近隣ダムの実績と比べ、小さすぎる」と述べた。 利根川水系の下久保ダムの場合、計画の2・2倍の速度で土砂が堆積しており、八ッ場ダムでも予想を上回るペースで堆積が進めば「80年後には利水容量がなくなる」と話した。 嶋津共同代表は質疑応答で、ダム関係1都5県で係争中のダム負担金支出差し止め訴訟で敗訴が続いていることの見解を問われ「判決は『違法だとは言えない』ということで司法のハードルは高い。 控訴審などの結果を待ちたい」と述べた。 また、同委は▽2月16日にダム下流自治体(埼玉県大利根町と東京都江戸川区)を視察▽3月15日に八ッ場ダム建設予定地を視察▽これまで意見聴取した専門家の講演録を議会ホームページに掲載−−することを決めた。 1月23日朝刊 【関連ニュース】